覇気なし岸田首相の年頭会見…「被災地に向け総理の言葉で…」と求められても原稿棒読み

用意された手元の原稿に目を落としては…(4日、年頭会見をする岸田首相)/(C)JMPA

用意された手元の原稿に目を落としては…(4日、年頭会見をする岸田首相)/(C)JMPA© 日刊ゲンダイDIGITAL

元日の能登半島地震の発生直後から幾度となく取材に応じているものの、〈下を向いたまま原稿棒読み〉などとSNS上で非難されていた岸田首相。マグニチュード7.6の巨大地震であり、時間が経つにつれ、被害の甚大さが明らかになっている。さすがに4日の年頭記者会見こそは、自らの言葉で強いメッセージを発するのかと淡い期待をしたが、あっさり裏切られた。

40分間の会見は、終始いつもと変わらぬ無表情で、プロンプターを使った冒頭発言以外は、ほとんど下を向いて用意された原稿を読むばかり。「令和になって最大級の地震」と口では言うものの、その深刻さは伝わらない。

被災地の地元紙である北國新聞の記者が、「被災地の現状をどのように感じておられるか、総理の言葉で被災者に向けて聞かせてください」と求めた際も、頻繁に下を向いて原稿を読んでいた。

 

そして驚いたのは、司会者が会見終了を告げた直後のこと。挙手しても当てられなかった記者のひとりが、「原発について質問させてください。地震から3日目でいまだ総理が原発について一言もコメントしないのは異常です」と呼びかけた時の岸田首相のリアクションだ。記者に視線を向けることなく、「にやり」と笑ったのを日刊ゲンダイ記者は見逃さなかった。そして岸田首相は、聞こえないふりをして去って行った。

■「政治とカネ」も昨年末から進展なし

政治評論家の野上忠興氏が言う。

「岸田首相の言葉には、魂がこもっていない。どうして国民を安心させるような言葉が出てこないのでしょうか。異常なほどの“鈍感力”というか何というか。自民党派閥の裏金疑獄への対応と同じで、格好はつけてごまかしていますが、他人事のように聞こえてしまう」

年頭会見のもうひとつの重大テーマは自民党の「政治とカネ」をめぐる問題だったが、岸田首相は「国民の信頼を回復し、政治を安定させる」と言うものの、「来週、自民党総裁直属の政治刷新本部(仮称)を立ち上げる」程度で、昨年末から何も進展していない。

5日は震災対応についての与野党党首会談が開かれる。「政治とカネ」の閉会中審査は未定。「まさか災害で救われたなんて思っていないだろうね」(野上忠興氏)。被災者支援は当然だが、政治とカネは別問題だ。