岸田首相〝ニュースジャック〟垂れ流しNHKに視聴者そっぽ…「おはよう日本」から3割逃げ出し 〝政府の翼賛放送〟に

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岸田首相〝ニュースジャック〟垂れ流しNHKに視聴者そっぽ…「おはよう日本」から3割逃げ出し 〝政府の翼賛放送〟に

岸田首相〝ニュースジャック〟垂れ流しNHKに視聴者そっぽ…「おはよう日本」から3割逃げ出し 〝政府の翼賛放送〟に© zakzak 提供

元NHK解説委員・鈴木祐司氏が寄稿 

内閣改造をしても支持率が一向に上がらない岸田文雄首相。来週前半にも物価高に対応するための新たな経済対策を打ち出すことをアピールするなど支持率浮揚に躍起になっているが、その言葉が国民からそっぽを向かれていることが如実に分かるデータがNHK「おはよう日本」の視聴率から浮かび上がった。元NHK解説委員でメディアアナリスト、鈴木祐司氏が分析・寄稿した。

NY記者会見垂れ流し

21日のNHK「おはよう日本」は、普段と異なる異様な放送だった。国連に出席した岸田首相がニューヨークで記者会見を行い、午前7時台の45分間のうち35分が中継などで占拠されたからだ。


視聴者の反応は一目瞭然。30分の会見中に視聴者の3割が逃げ出した。前4週平均と比べても大きく下がってしまった。説得力に欠ける首相の長広舌は、多くの視聴者にダメ出しされた格好だ。しかも年齢別だと、男性65歳以上が最も下がった。本来なら自民党支持層が多いのだが、そんな人々にも敬遠されていた。

本来朝7時台は出かける前のバタバタした時間帯だ。重要なニュースをコンパクトに伝えてこそ、ながら視聴する人々には便利な放送となる。ところが集中して聞いても、何が言いたいのか伝わらない会見を長々とやられては、見ていられないのは普通の感覚だ。視聴率急落もむべなるかなだ。

菅前首相時代から頻発も大半が不発

実は岸田首相の会見は、8日前にも「ニュース7」で中継されたばかり。この時は番組開始から半減近くまでに視聴率は下がった。菅義偉前首相時代から頻発するようになったニュースジャックだが、残念ながら大半が不発に終わっている。

そもそも首相会見は夕方6時台に行い、その内容を7時のニュースで簡潔に伝えるというのが、官邸とNHKとの間の取り決めだった。ところが菅時代から、ゴリ押しされるようになった。しかし菅会見も要領を得ず、繰り返すうちに支持率が下がってしまった。これを正しく分析しなかったのか、岸田首相は形式だけまねて、ついには朝のニュースまで占拠するに至った。

NHKも情けない。首相によるジャックは、コロナ禍が始まった2020年に、安倍晋三元首相が緊急事態宣言を出した時だけ視聴率を急伸させた。生中継に値する重要な会見だったからだ。ところがその後はすべて急落している。そうと知りながらジャックを許すとは、これでは国民のための公共放送ではなく、〝政府の翼賛放送〟といわれても仕方ない。

今話題のジャニーズ問題では、マスコミは事務所に忖度して行うべき報道をしなかったと指弾されている。NHKの首相会見放送はこれと相似形だ。権力に忖度するばかりでは、経営計画で約束している「不偏不党」「自主自律」が守られていないことになる。