田舎暮らしに抵抗しかなかった私は、この町の初め粗探しばかりしていた。


道路がガタガタで草花が道を阻んでいるとか


実家からならコンビニは何分で着くのにとか


そういう事にいちいち腹を立てて、帰りたいなぁと思っていた。

そんなある日、いつもの道を心の中で文句を言いながらベビーカーを押して歩いてたら突然「ねえ!」と生垣の向こうから声をかけられた。

ビックリして立ち止まると、生垣の向こうにその家のおじさんが立っていたのが葉の間から少しだけ見えた。

おじさん「お姉さん、カキいる?」

ぴょん吉「え?」

おじさん「ちょっと待ってて!」

そう言うとおじさんは外に回ってきて枝付きのカキをくれた。

おじさん「ベビーカーの下乗るかな?甘いよ!」

私は驚きっぱなしで、その後何か会話をしたけどよく覚えていない。

とにかくいつも怒ってた道のりが“カキおじさん”のおかげで驚きと、少し幸せな気分のみちのりに変わった。

その日から少しずつこの町と関わっていこうと思い始められるようになった。

ありがとう“カキおじさん”

東京生まれ東京育ちの私が結婚、出産を期に田舎へ行くことになった。



田舎暮らしをする上での不安は大きくわけて2つ

孤独と不便さ

友達も親も居ない、大好きなカラオケ(唯一の趣味)も出来ない、コンビニも遠いし、免許もない。
そこに一生いるのだと思うと胸がぎゅーっと苦しくなった。

空は広くて、遠くまで見渡せば山がたくさん連なって、小鳥も自由に飛んでいる。

それなのに私の心は窮屈な箱に閉じ込められたように苦しかった。


私にとって東京を離れると言うことは

孤独な世界に飛び込む事


不便な生活を強いられる事


大好きな人達に会えないという事だった