コウは、普段家にいるときには、煩いぐらいにとてもおしゃべりです。

また、顔を見れば一目で機嫌がわかるほど、喜怒哀楽が激しい性格です。

 

ですが、入院してから1カ月の間、コウは、まるで別人かのように無口で無表情でした。

面会のときも、殆ど何も話しをせず、ただ俯いたまま私の手を握るだけです。

また、私が面会に行ったときに、入院している他の子ども達と卓球をしていることがありましたが、そのときも、無表情のままプレーをしていました。

このときは、私も、本当に良くなるのだろうかと不安に思っていました。

 

しかし、5月に入ってゴールデンウィークが過ぎた頃から、次第に話しをするようになり、表情も明るさを取り戻してきました。

強迫の症状も、確認行為が全く無くなったわけではありませんが、年中悩まされることもなくなったようです。

5月の下旬には、私との面会の最中に確認行為をすることも少なくなっていました。

 

私も、げんきんなもので、4月の間は本当に治るのかと思っていたのに、このままいけば、当初6カ月の予定だった入院期間が短くなって、2学期の始めから学校に通えるようになるのではないかと、考え始めていました。

 

ところが、そんな私の甘い考えを一瞬にして吹き飛ばすかのように、6月の中旬、事件が起こりました。