いたたた… | 山口粧太オフィシャルブログ『東京生活』

いたたた…


バイクでこけた。
左の肩、ひじ、すねに怪我を負った。
がしかし重症ではないので、お花とかフルーツバスケットとかスラムダンク全巻とかは結構でございますので悪しからず。

どうやら後輪の溝が擦り減っていたせいで、降る雨の水の逃げ道が無くなり、スリップしたらしい。
ハンドルがやや曲がったが、エンジンは一発で掛かった。
病院に行こうかとも思ったが、まだ朝の6時だったので、一旦野比の家に戻った。

脱いだカッパをシャワー室に投げ込むと、血が排水溝に流れていく。あらら…。
痛む肘を鏡に写してみた。派手な傷が数か所あった。
あとは脛と右手の甲にも軽い擦り傷。
思ったより軽傷で済んだのはカッパのおかげだ。その証拠にシャワー室のそれは、既にビリビリに破れている。

雨で身体が冷えていたのと、打撲の痛みも少しあったので、ぬるま湯に浸かってみた。
首や関節を回す。
うむ… 大丈夫そうだ。

予定をキャンセルしようと決めていたが、何だか平気そうだし、間に合いそうだし、それにまだ病院も空いてないし、再度出発する事にした。

ええと、包帯は?マキロンは?
一応探してみたが、なんにも無い。そして血は止まらない。
困った。もちろん服には付くだろうし、返り血で他人に被害を及ぼすわけにもいかない。

ひらめいた。
キッチンペーパーをガーゼ替わりにし、マスキングテープで覆ってしまえ。
完璧。
これで油性のペンキだって絶対漏れないぜ。ワイルドだろう?


翌日。
元GPライダーの辻本聡さんに電話した。

「千駄ヶ崎トンネルの出口でコケたんすよ」
「最初の右か」 さすがレーサー、感も良ければ言い方も格好いい。
「そうっす、最初の右カーブっす」
「トンネルはスピード出るし、下り坂やから雨水に乗ってもうたんやな」
「ところで、どこの病院がいいすかね」
「怪我の具合は?骨、出てもうたんか?」
「それだったら救急車呼んでますよ」
「そうか」
「擦り傷です」
「えぐれたんか?骨、見えてんの?」
「いえ、そこまでは」 しかし骨、好きだな。
「それやったら病院行ってもしゃーないで、サランラップ巻いとき」
「は?サランラップっすか?」
「そうや、それで充分や。乾かすより綺麗に治るで」
「はあ」


そのまた翌日。
出先の知人達に病院に行く事を強く勧められた。

「粧太さん、むち打ちの可能性だってあるんですから病院行ったほうがいいですよ」
「そうだね」
「それにキッチンペーパーもやめたほうがいいですよ」
「でもサランラップじゃおかしいでしょ」
「は?」

夕方、久里浜に帰ってこれたので病院を探してみた。
ようやく外科を見つけたのだが、休診日だった。
来た道と別の道をトボトボと歩いて戻ると、整体の治療院を見つけた。
ま、訊いてみるか。
「打撲よりも傷の痛みが強いんですけど」と俺が言うと、「ええ大丈夫ですよ診てみましょう」と快く引き受けてくれた。
整体の先生だけに、まずは入念に首と肩の状態をチェックしてくれた。
「左肩が少し上がってしまったようですが、じき治るでしょう」
「首はどうですか?」
「問題ないでしょう」
「そうですか。ありがとうございます」
「で、このキッチンペーパーは?」
「はい、擦り傷ですが、専門外ですよね?」
「まあそうですが、私は極真空手の道場もやっているので傷は慣れています。診てみましょう」
先生がテープを取り、キッチンペーパーを剥がしてくれた。
「ありゃりゃ。傷も酷いけど、腫れちゃってますな」
と言うや否や、グイグイと傷口回りを揉み始めた。
「イッテーーーーーーーー!」

事故った時より、痛かった。



皆様に於いては安全運転とサランラップの在庫確認をお願いします。