今週のnow | 山口粧太オフィシャルブログ『東京生活』

今週のnow


遅ればせながら、“あなたへ”を見てきました。
わりと泣きっぱなしでした。あ、俺がね。

健さんの「ありがとう」の台詞に震え、その直後(まだ見ている最中)に5回程、そのシーンが頭の中でフラッシュ・バックの様に繰り返し出てきて‥ こんな事は初めての経験でした。

映画の感想は良いも悪いも見た人の自由であり、受け止め方も様々ですが、俺の場合はというと、完全にやられました。

これは多くの諸先輩方の芝居が見れた、すなわち大変に勉強ができた事に依る所が大きいです。

辛口の批評の中には、健さんの為だけの映画、健さんしか写さない映画という御意見もあるようですが、俺は健さんが見たいし、他に例えばイーストウッドが見たいし、マックイーン(故人)が見たいのです。その為にチケットを買うのです。

かと言って今回共演者が生かされてないという事は全く無く、田中裕子さんも可愛いかったし、原田美枝子さんも綺麗だったし、長塚京三さんも“独特のアク”を消した芝居を演じられてて、その上手さは唸るものがあったし・・と言い始めたら切がありません。

そんな中でも石倉三郎さん、不破万作さんの健さんへのリスペクトは凄い!と、勝手に感じてしまいした。

これはホントに俺の勝手な想像ですが、画面を見ていると両先輩方が、
「健さんと一緒に映ってるだけで嬉しい。だから俺の顔なんか写さなくていい。アップなんかいらない。健さんだけを撮ってくれ」
と、書いてる事に矛盾はありますが、俺にはそのように見えたのです。

 わかるかなあ。特に石倉さんは殆どカメラに正対しなかったもんな。

あれは撮影のセオリーを敢えて無視して演じられてた気がします。健さんを引き立てる為に。

浩一さんの、健さんとの芝居の真剣勝負も楽しめたし、草薙君の必死さも十分に伝わってきました。

出演者の中で、健さんより唯一年上であろう大滝秀治さんの、
これぞ芸、これぞ芝居、されど人間、ただの年寄り。
「んーとね、こんなんです高倉君」という姿(芝居)を魅せていただいた気がしました(勝手な事を書きすいません)。

そして、良かったなあ~、綾瀬はるか。
マグマみたいに溢れ出る若さの輝きが、なんと清々しいことか!

思うに、彼女の存在がラストの“歩く倉島英二(健さん)”の次の人生を生かしてくれる気がしました。

港を歩く健さん。唐獅子牡丹。ああ恰好いい。