あかんたれ
「山口さん?ご予約の本が入ったから、早く取りに来ないと、次の人に流しちゃうよ」
と、図書館のおじさんから電話があったので、慌てて自転車で飛び出した。
「予約した山口です!」
「ふん、いつも言うけど、延滞もホドホドにしないと、出入り禁止だからね」
「いや~、仕事がですね、忙しくてですね~」
「そうは見えないよ」
と、ジャージ姿の俺に、嫌味をタラタラ。
「あのクソオヤジめ!」と、悪態をたれながら、図書館の自転車置き場に戻り、チェーン状の鍵をはずそうと、ポケットの中の鍵を探したが・・
無い。
鍵を家に忘れてきた。
トボトボと自宅に歩いて戻り、鍵を持ち、ウダウダと図書館に再度向かった。
「あのクソオヤジのせいだ・・」と、八つ当たりをしながら鍵をはずし、そのままジムに向かった。
「なかなかこの本、面白いぜ!」と、ランニングマシンの上で2時間も読書をし、サウナに入り、自宅に戻った。
マンションのエレベーターが棲家の階に止まり、扉が開いた。
おや? いつもと様子が違う。玄関前に置いてあるはずの・・自転車が・・
無い。
「あっ!やっちまった~」
自転車をジムに置き去りにし、地下鉄で帰ってきてしまっていた(1年に3度はやる)。
「くそ~、やっぱり、あのクソオヤジなんだよ!」と、再び他人のせいにして、再び地下鉄に乗り、再びジムにトンボ帰りをした。
シュン・・