いとし・こいしさんの喜味こいしさんが亡くなられた。享年83歳。正統派の上品な漫才でよく笑わせてくれた。「交通巡査」を聞いたとき、面白くて感心させられた記憶がある。

図書館で「いとしこいし漫才の世界」喜味こいし・戸田学編 岩波書店の本を借りてきてあったのは奇遇だった。

中田明成 作「花嫁の父」一部を紹介する。リズミカルな掛け合いを読んでみて下さい。

いとし 実はね、うちの娘がね、いよいよ来月、嫁に行くことになりましてね

こいし そんな歳になったか

いと そら、そうや。ぼくが結婚したの、古いもの

こい ずいぶん昔やね

いと 遠い昔やね

こい たしか、君が嫁はんもろうたんは、あれは徳川慶喜がやね、江戸城・・・

いと 人を怪物みたいに言うなよ

こい そうか、それはおめでとうさん

いと いやいや

こい エライこっちゃね。あんたは花嫁の父やね

いと そう!花嫁の父よ

こい 花父やね

いと なんか鼻垂らしみたいに言うな

こい 莫大な費用がかかるね

いと 別荘を二つ三つ売らなイカンかいなと思たんですがね

こい ほう、売る別荘あるんかいな

いと 誰か人の別荘を

こい そんなアホなこと言うな!

いと お金かかるねェ~ まず、嫁入り衣装ね

こい 豪華なやつがあるからね

いと うちとこは貸衣装で行こうと思てます

こい このごろは貸し衣装で結構です

いと 結構ですよ。あんなもん、年に一回・・・、と違う、一生に一度着たらそれでエエねや。

こい あんなもん、毎年やられてどないすんねや

いと そうとう人の別荘売らなイカンわ。

こい とにかく、まあ、貸衣装でエエな。花嫁衣裳は貸衣装でエエけども。だけど、嫁入り道具はこれ高つくで

いと その嫁入り道具も貸し道具でいきますがな。

こい 嫁入り道具、貸し道具で?

いと 嫁に行くときは一応持って行くんですよ。三月したら道具屋さんが裏から引き取りに行きまんねん。

こい そんなアホなこと言うな


注 ブログ「花のスワマエ商店街」と内容が同じです。また誰かにオサボしたと言われそう!!!