ホントにありがとうございました。
この作品に関わって下さった全ての方々へ御礼申し上げます。
少し長くなるので読んで頂く方はご覚悟を。
初めて主演を務めさせて頂いたこの作品。
7年前にボクに芝居のホントの楽しさ、人に感情を渡す難しさ、人間の心の繊細さ、色々な課題をくれてボクの役者人生が本格的に始まりました。
今回の音組の桜井役 鬼束道歩さんがメインキャストで出演していた舞台がボクの初舞台でした。
その初舞台では毎日の様に演出家に怒られ、楽しさなんて感じる暇さえありませんでした。
でも、本番を迎えて千秋楽まで駆け抜けた時の景色は言葉に表せないモノでした。
そんな初舞台を終えて、稽古中からボクを可愛がってくれていた鬼さんが連れて行ってくれたのが加藤真紀子さん率いるPUPAの稽古場でした。
その頃、PUPAは旗揚げ公演「虹色サラウンド」に向けて色々準備をしている頃で、加藤さんがボクを見て発した第一声を今でも鮮明に覚えています。
「すげーヤツ来たな!」
はい、ボクはロン毛に筋肉モリモリのターザンみたいな出で立ちだったので完全に見た目の事だったのだと思います(笑)
PUPAリーダー天野哲也も同じ事を思っていたそうで(笑)
旗揚げメンバーの佐久間も既に宇宙人感がありました。
そんな中で天使ブランキーとして出演させて頂いた初演。
懐かしいです。
鬼さんに出逢い、加藤さんに出逢い、天野に出逢い、PUPAに出逢い、そこから沢山の素敵な出逢いに恵まれたボクが初めて主演として舞台に立つ。
その作品が「虹色サラウンド」
天使がくれた巡り合わせだったのかなぁ。
世の中に運命ってホントにあるのなら、その運命は一途に歩んで来た人間の人生のレールの方向を天使が良き方向に変えてくれているのかもしれません。
それが運命なのかも。
話が思い出話に脱線してしまいました。
今回もボクには沢山の兄弟、親友、仲間が出来ました。
ボクはそんなみんなの為に何が出来るだろう…?
座長の仕事って何だろう…?
ボクって何だろう…?
最初はそんな事を考えながらの日々だったけど、そんな凝り固まった考え方はみんなと過ごす日々の中で和らいで行きました。
ボクが楽しそうにしてればみんなも笑顔になる。
ボクが真摯に芝居していればみんなも真摯になる。
ボクが前を向いていればみんなも前を向く。
試行錯誤なんてカッコイイもんじゃない。
みんなとの濃密な時間の中に全ての答えが詰まっていました。
みんなホントにありがとう。
とは言え、多田ヒロトという人間はボクとは全く違った人間で、自分に正直になれず、自分の中に叫びを封じ込んでしまうカッコつけ。
葛藤という言葉はコイツの為にあるんじゃないかと思うくらい。
ボクとの共通点をあげるとすれば、口が悪い事くらいでしょうか(笑)
その性格故に、大きな後悔をしてしまいました。
それと同時に大きな事に気付かせてもらえました。
ヒロトとの共通点をもう一つ見つけました。
周りの人達に恵まれている。
出来た弟
生意気な弟、おてんばな妹
全てを包んでくれる幼馴染
慕ってくれる商店街の後輩達
幸せを願い続けてくれていた恋人
そして、残された僅かな時間を自分の為では無くヒロトの為に費やしてくれた親友
ヒロトは残りの人生をかけて、後悔の無い精一杯の人生を送らなければならない。
それが、恩返しだと思う。
そして、一生後悔を胸にしまって歩み続けて行くのでしょう。
人生は十人十色。
それぞれの人生にドラマがあって、与えられた命を燃やして燃やして燃やし尽くした時に人生のクライマックスを迎える。
でも、いつクライマックスを迎えるかは誰にもわからない。
だから時計の針と同じ様に進み続けなければならない。
迷ったら甘えればいい。
嫌でも自分で扉をこじ開けなければならない時は誰にだって来るのだから。
仲間はもちろんだけど、幼少期を元気な声と笑顔で彩ってくれた子供達からも沢山の贈り物をもらいました。
立派な頼りになる仲間達です。
何だか、自分の事なのかヒロトの事なのかわからなくなるくらいに愛おしい役でした。
愛おしい世界でした。
そして、私事なのですが初めて地元長崎から母親が舞台を観に来てくれました。
ドラマや映画は毎回観てくれてるけど、初主演に駆けつけてくれて涙を流して喜んでくれました。
親孝行になったのかなぁ。
嬉しかったなぁ。
毎日パワーもらってました。
応援してもらえるってホントに幸せな事ですね。
頑張らなきゃ。
ボクの役者人生はここからまただ続きます。
でも、この作品は永遠に心の中に残ります。
皆さまにとってもそうであればこの上ない幸せです。
7年前、加藤さんに言われた
「すげーヤツ来たな!」
これからの人生で中身をそう言われ続ける役者でいれる様に生きて行こう。
それは同時に加藤さんや仲間達、応援してくれるみんなへの恩返しにもなるから。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
これからの中村祐志にも存分に期待して頂いて大丈夫です。
そして、伝えたい事をしっかり伝えられる人間でいれる様に生きます。
虹色サラウンド
みんな
多田ヒロト
また逢える日まで
ありがとう
中村祐志