湿度の高いどんよりした天気が続いている札幌だが、今日も引き続きぱっとしない。梅雨がない北海道とは、過去の話なのだろう…


昨晩、悪い噂を聞いた。いつも夜勤のナースとして俺の体調管理や面倒を見てくれている男性スタッフがいる。

その方が、施設を辞めたと言う噂だ。



一気に心が沈んだ。



笑顔が素敵な恰幅の良い60代の男性だが、いつも俺のことを気にかけてくれ、トイレ介助も嫌な顔1つ見せずやってくれた。そして何よりもその方の人格だ。


人生経験も豊富で多趣味、話がよくあった。そして何より優しい。とてもとても真似できない位優しい。


俺は大好きだった。その方が夜勤の日が楽しみだった。



皆から愛される人だろうなぁ…




そして午後1時過ぎ、日勤のナースが訪問看護のために俺の部屋に来ている時、突然その方が現れた。

仕事の引き継ぎなどに来ていたのだろう。



なぜか、なぜかわからないけど俺の目から涙が止まらなくなった。


「ありがとう」


と伝えるのがやっとだったと思う。見ていた日勤のナースももらい泣きしていた。


その方は俺の手を握り、「ごめんね、頑張って!」と言ってお互い涙が止まらなくなった。



この病気になってから、何人ものナースやリハビリ担当者等との別れを経験してきている。その都度、別れだから悲しいけれど、こんな事は経験がない。



頼りにしていた兄貴との別れ…



「本当にありがとうございました。出会えてよかったです。

きっといつかどこかで!」



夕方、別れの余韻が残るなか、少しだけ昼寝をした。

少しだけ、体が楽になった気がした。





悠人   感謝の気持ちはしっかり伝えないとな