2020年2月末、学校が3学期いっぱい休校になり、2020年度はコロナに対して手探りの対応をとっていた。それから1年後、2021年4月の保護者会で、PTAの委員をすることになった。
私の役割は、執行役員ではなく、委員で形成する部の部長。つまり、委員の中から選出された部長という立場であった。
PTAは、同じ地域の公立小学校であっても学校ごとに違いがあり、活動の範囲もさまざまなので、私の活動のことを具体的に書いてもあまり共感していただけないかと思う。
そこで、今の時代にPTAを担当される方におそらく共通するのではないかと思われる事柄を書いてみたいと思う。
得たこと
人との出会い、これに尽きる。
一緒に活動する保護者、先生方、学校生活をサポートしてくださる地域の方々、役所の方々。
1つの活動を完遂するまでに、多くの人の関わりがあること。毎日子どもたちが学校に登校し、学校で過ごし、下校する。この当たり前のように過ごす日常において、たくさんの方々が「子どもの成長のために」と関わってくださっている。
保護者がPTAの活動を行うことは、無償のボランティアだ。コロナ禍のようなイレギュラーなことが起これば、メンバーで知恵を絞り、家族団らんの時間を使い、対処に向き合わなければならない。それでも、メンバーが各自これまでの仕事や社会経験で得た知見やスキルを発揮して課題を解決する姿は、これぞプロボノ、人のキャリアのあるべき姿と感じた。
※プロボノ 「Pro Bono Publico」というラテン語が語源。仕事で得たスキルや自分の専門性を公共のコミュニティに活かして社会貢献し、より良い社会にしていくこと。一般的には弁護士が無料法律相談を行うなどの大きな枠組みでの取り組みを指す。
子どもの学校生活を支える方々を実際に目にすることで、感謝の念がわき、子どもの育成にも良い影響が出る。「登校を見守る方にきちんと挨拶するんだよ」という一言が出る。
平日に学校を訪れることで、先生方がどう指導しているのか、子どもたちはどんな様子なのか、授業参観では見られない、素の姿を目にすることができる。例えば、3・4年生はギャングエイジと呼ばれる世代であり、休み時間が終わっても廊下にいたりする。先生のいうことをすぐ聞く1・2年生や判断力が増す5・6年生とは違う行動をとるのだなとわかる。
迷ったこと
Googleの無料ツールやLINEの機能がどんどん進化しているので、そういったものを活かして活動を円滑にしたいと考えたものの、保護者がどのレベルまで許容するか議論がわかれ、従来の紙による情報収集も残っている。2020年度はまだまだ紙だったため、それを引継いで2021年度は紙が多かったが、2022年度の方へ引き継ぐ際には、紙の部分を減らした。
折しも、学校では児童にGoogleスプレッドシートでプレゼン資料作成を指導し、欠席連絡やアンケートをGoogleフォームで情報収集する体制になっているので、今後は毎年のように様変わりしていくだろうと思う。
できなかったこと
これは、部長という立場からのもので、「権限移譲」であった。委員さんにうまく仕事を振り分けられず、自分が抱え込んでしまった。
コロナ禍で、2020年度の体制が例年と異なる体制であり、例年と違う役割分担であることは認識しつつもそのまま引き継いで実施した。2021年度も学校行事やPTA活動が少ない見通しだったことと、コロナ禍をきっかけに効率化できるものは効率化しようというもくろみがあったことで、自分が全体に関わり、見てみようという考えからだ。
本来は部会などを開き、委員さんの率直な意見を聞きながら運営するのだが、対面での集まりを避け、LINEでの連絡に終始した。これは情報を連携するのには便利だが、委員さんの率直な意見や感想を吸い上げにくい。「気づいたことは随時LINEで言えばよい」は「会議という、みんなで同時に1つのことを考える場とは違う」のだ。
これらのことは、やっている最中は任務を遂行することに夢中で気づかないものだが、振り返った今わかったことだ。仕事であれば、部下であるし、評価もしないといけないので、対面での集まりをやろうとかオンライン会議をしようとか行動することになるが、私がやれなくもない範囲のことなので、ついいろいろやってしまった。
委員さんは助かった面もあったかもしれないが、学校の様子を見るとか、先生との関わりをするといった、持てたはずの大切な時間を奪ってしまったのはやはり良くなかったと思う。
今は今年度の方に引継ぎを実施しているところで、この反省を活かしてできる限り引き継いだ。自分にとっても貴重な経験となったので、今後はこの経験を仕事に活かしていきたいと思う。
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