今から50年前の1967年というのは「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」を筆頭に「VELVET UNDERGROUND & NICO」やピンク・フロイドの1st「THE PIPER AT THE GATES OF DAWN」「BUFFALO SPRINGFIELD AGAIN」ジミヘンの「ARE YOU EXPERIENCED?」などサイケデリックな名盤がリリースされた年ですが、あたしがなによりハマったのはドアーズの1stなのです。もちろん後追いです。
当時、発売されたのは1月だったようですが、遅ればせながら今年の5月には50周年デラックス・エディションが出るようです。
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言うほどサイケの文脈では語られませんが、そもそもバンド名からして当時の幻覚剤研究の第一人者、ティモシー・リアリーの著書「知覚の扉(The doors of perception)」から取られたものですからねぇ。
1stは基本シンプルな構成のまま他の楽器の導入もそれほどないのでカラフルさには欠けますが、レイ・マンザレクのオルガンにはドープな感覚が充分にあるし、ロビー・クリーガーのギターは上手いのかヘタなのかわかりませんがw特異なフレージングそのものがおサイケです。
なによりジム・モリソンの詩の世界が、頼みもしない向こうの世界への扉を、自分勝手に開けてくれますね。
さぁ軽く聴いていきましょう。
シンプルなロックン・ロールがオープニングナンバー
THE DOORS - Break On Through
「get high」程度の言葉がドラッグ絡みで問題視された時代だったんですねぇ。highが消されて「She get!」と連呼されています。
リンゴ・スターは堂々と「Get high with a little help from my friends」って歌ってて消されてもないので、こういう規制は米国の方が厳しかったってことかな?
THE DOORS - The Crystal Ship
繊細なバラードもドアーズの魅力のひとつ。
同じ年の10月に発売される2ND「STRANGE DAYS」では、こういうタイプの美曲の方が光を放っています。サンプルとしてセカンドからも1曲どうぞ。
THE DOORS - You're Lost Little Girl
う~ん、エモいwww
THE DOORS - Alabama Song (Whiskey Bar)
1stに戻って、これは1930年に初演された劇作家ベルトルト・ブレヒトのオペラ「マホガニー」の中で、売春婦が歌う歌のカバーとのことなので、オリジナルを探してみました。
LOTTE LENYA – Moon Of Alabama (1931)
この曲の作曲者クルト・ワイルの妻ロッテ・レーニャの歌うヴァージョン。これに比べるとドアーズの方がまだまともに聴こえますね。
THE DOORS - Light My Fire
これがドアーズとしては一番有名な曲になるんでしょうね。
この時代特有の長~いオルガンソロを聴かせてくれますが、ベースがいないので、かわりに足鍵盤で弾いてるベースリフがまた陶酔感を誘うのです。
THE DOORS - The End
そしてラストは12分弱の長尺曲。
「エディプス・コンプレックス」という心理学的概念の元となったギリシャ神話の「父親殺し」を、ポップミュージックの中で表現した叙事詩ってことですね。
70年代後半にこの曲がフランシス・コッポラの映画「地獄の黙示録」にフィーチャーされてハマった世代の人も多いでしょう。
これ以降もポエトリー・リーディングを組み入れた曲はいくつも発表しますが、これほど朗読自体が音楽的な完成度を誇るものはなく、デビュー時に最高のモノを作ってしまったパターンでしょう。
ドアーズに関しては、SONY提供の「とにかく全曲かけます!」みたいなエアチェック用のFM番組で録音してまとめて聴きまくったので、アルバムごとの思い入れはあまりないんですが、やっぱりサマー・オブ・ラブの本場カリフォルニアの空気をたっぷりと浴びた1,2枚目はちょっと特別感がありますね。
体重が増加していくのと反比例して、ジムの吸引力が徐々に落ちていく感じは否めませんが、ロビー・クリーガーというメロディメイカーがいるおかげもあって、楽曲としてのレベルはラストアルバム「LA WOMAN」まで保たれていて、ポップバンドとしても優れていたと言えるでしょう。
お金に余裕のない方はこちらで全編どうぞ。このダークな世界はひとたびハマると抜けられませんよ。
THE DOORS - THE DOORS (Full Album)