誠凛高校バスケットボール部の練習が終わってから約1時間後。
伊月は、黒子とともにメフィストのいる、聖十字学園に来ていた。

「…俊さん。来たのは良いですけど、理事長室ってどこですかね…。」

そして、迷子になっていた。















事の始まりは、メフィストからの電話からである。
部活が終わったあと、伊月の携帯に電話がかかってきたのだ。

『こんにちは~。部活が終わった所かな?まあいいです。
 これから聖十字学園の理事長室に来てください☆
 あ、黒子くんも連れてきて下さいね。
 じゃあ、待っていますよ。アデュー!』

反論する間もなく、切られた。
用は分からないが、一応偉い人だし、従わなくちゃ。
そう考え、しぶしぶと来たのである。

しかし。迷子だ。
伊月達は、聖十字学園は何度も来ている。
が、エクソシストの塾しか行ったことが無いのだ。

よって。
完全に迷子なのである。

「仕方ない。誰かに聞こう。」

伊月が、溜息をつきながら黒子に言うと、黒子は、そうですね、と返した。

伊月は、そこら辺に入る生徒に声をかけようと、周りを見渡す。
適当に選んで、伊月は声をかけた。

「あの…ちょっといいですか?
 えっと…理事長室って、どこですか?」

「理事長室?えっと…」

伊月が声をかけた相手は、聖十字学園の生徒と思われる少年だった。
目つきが悪く、話しかけずらい雰囲気がある。
名門である、聖十字学園に入学できる人には見えない。
人は見かけによらない、というのは、本当だったらしい。

そんなくだらない事を考えていると、相手は、ちょっと唸って、ついてきていいぜ、と言ってきた。

相手は、黒子の存在には気付いていないらしく、見向きもしなかった。
黒子も、その事には気付いているらしく、話しかけようともしない。


「てか、あんた他校だろ?
 なんでこんなとこいんだよ?」

案内してくれている少年が、聞いてきた。
伊月は、少し考えてから、返事をする。

「えっと…理事長に、話があるんだ。ちょっと呼ばれていてね…。」

エクソシストの仕事で、など、言えるわけがない。
言ったとしても、なんだこいつと思うはずである。

少年は、ふーん、と言った後、聞いてきた。

「な、お前、どこの学校?」

彼は元気だな、と伊月は思いつつ、質問答える。

「えっと、誠凛高校っていって…。
 去年できたばかりの新設校なんだ。因みにオレ、二年。」

今日は俺もおしゃべりだな、と伊月は思っていた。
伊月は少年から、何かを感じていた。
それがなになのかは、分からないが。

「へー。しらねーな…。オレ、ここの一年!
 オレ、奥村燐っていうんだけど…。
 あ、年上だから敬語必要か…」

「奥村、燐…。君が…!」

奥村燐。サタンの息子。
伊月より、人間に近い悪魔。

無意識に、伊月の手が異次元にしまってある愛剣に伸びた。

それに気付いた黒子が、慌てながら、しかし、冷静に言った。

「俊さん。落ち着いてください。」

しかし、伊月は気付かない。
伊月は、虚ろな目で、「虚無界の門」を作る。

「魔空間…!」

呟き、黒子は舌打ちをした。

周りを見ると、燐は、急に現れた穴に驚き、半歩下がっている。
危機感を覚えているのか、背中に背負っている剣を構えながら、袋から抜いていた。

黒子は、それを見て、燐に叫ぶ。

「奥村くん!倶利伽羅…降魔剣を鞘から抜いて、俊さんを切ってください!」

いままでいなかった(見えなかった)ところから急に声がして、燐は驚いたが、言われた通りに鞘から抜いて切りかかる。
抜いた瞬間、燐の体が青い炎に包まれた。


伊月は、自らが生み出した異次元への扉―虚無界の門から二つの剣をとりだし、片方の剣の鞘を抜いた。


ひとつは、「ダーインスレイヴ」。
もう一つは、「マガブイン」。


鞘を抜いた剣は、「ダーインスレイヴ」である。

黒子が周りを見渡すと、誰もいなかった。
先ほどまで話していた学生は、どこにもいない。

「ちょ、おまっ!!急にどうしたんだよ!??」

燐が必至に伊月に話しかけるが、聞こえていないかのように無反応。
否、聞こえていないのかもしれない。

黒子は、状況を把握するため、頭を必死に動かす。

「(俊さんの様子がおかしい…。
 もしかしたら、何者かに操られている可能性がありますね…。)」

考えながら、黒子は、自分のチカラを使った。

燐の周りに水を浮かばせ、剣の攻撃をガードする。
その次に、銃をとりだし伊月に向かって乱射。
当たらなくてもいい。
視線を黒子に移させる事が重要だ。

しかし、伊月は黒子を見もしないで燐に向かって走る。

その行動に、黒子は舌打ちをしながら燐のところに向かい、燐にあたらないように気をつけながら乱射する。

「流石に、一筋縄にはいかないですか、っと。」

注意を自分に向けさせる為に、黒子は伊月に銃を打ち続ける。
何を思ったか、伊月が黒子をちらり、見た。
その一瞬を、黒子は見逃さない。

伊月が黒子を見た瞬間、黒子は己のチカラで伊月を拘束する。
動けなくなっている間に駆け寄り、首を精一杯蹴った。
すると、伊月は、煙を上げながら倒れたのだった。

「やっぱり…。奥村君、無事ですか?」

動かない事を確認してから、隣にいる燐に話しかける。
燐は、いきなり起こった事態に、驚いていた。

「なあ…、どうゆう事だよ!?何が起こったんだ!?
 なんでこの人、俺を殺そうとすんだよ!」

動揺しているらしく、燐は黒子に掴み掛かる。
黒子は、少し慎重に話し始めた。

「僕も、よく分からないんですが…。
 恐らく、俊さんは何者かに操られていたんだと思います。」

その言葉に、燐は驚く。



少し前。
燐は、メフィストに会っていた。
そこで、妙な事を聞いたのを思い出す。

「楽しみにしていると良いですよ。これから、楽しい事がおこりますので☆」

その言葉の意味を、燐は分からなかったが、もしかしたら。
伊月が操られ、燐に襲いかかる事が面白い事だとしたら。
伊月を操ったのはメフィストで、それを計画していたという事になる。


「…僕は、メフィストさんの所に行ってきます。
 俊さんも、もうじき起きると思うので。
 巻き込んでしまい、すいませんでした。」

そう燐に言うと、伊月を担いで黒子はさっさと歩いて行ってしまった。
燐はあわてて引き留めた。

「ちょ、待てよ!説明してけよ!」

黒子に向かい、燐は叫んだが、既に黒子はいなくなっていた。
気づけば、周りにも人が歩き、過ごしている。

なんなんだよ。
燐の呟きは、誰にも聞かれる事無く消えていった。








「どういう事だ、メフィスト!」

伊月が目を覚まし、黒子につれられて理事長室に来ていた。
騒がしいですね~、とため息をつきながら、メフィストは伊月と黒子を見て、話し始めた。

「どうもこうもない。テストです。試験。」

は?、と、伊月と黒子は疑問の声をあげる。
そんな事は気にせず、メフィストは話し続けた。

「あなたたちは、悪魔の血が流れているも同然。
 なので、いつ悪魔に乗っ取られるか分からないのですよ。
 この件は、悪魔にのっとられないかのテストでした☆」

☆じゃねーよ☆じゃ、と言いながら、伊月は魔空間からダーインスレイヴを取り、鞘を抜いて構えた。
黒子は何も言わないが、起こっているらしく、己の周りに水を浮かばせ、戦闘態勢に入っている。

メフィストはそんな二人を眺めてから、満足そうに微笑んで言った。

「まあ、試験は失格です。という事で、気をつけて下さいね。
 では、かえって良いですよ。」

黒子はまだ不服だったが、扉に向かった。

「……俊さん。帰らないんですか?」

いつまで待っても扉の方にこない伊月に向かい、黒子は声をかけた。
先に行ってくれ、と伊月は言い、メフィストを見た。

わかりました、と黒子は言い、部屋から出て行った。


「これ。どっちにしろ失格だろ。」

黒子がいなくなった事を確認してから、伊月がメフィストに話しかけた。
メフィストは伊月を見て、笑みを浮かべた。

「よくわかったな。そうだ。
 俊がかかるまで、掛け続けていたよ。」

やっぱり、と伊月は呟き、ため息をついた。

「…メフィスト。俺達を、奥村燐に会わせるために呼んだんだな?
 俺が動揺して心の隙が生まれると考えたから。」

メフィストは笑みを浮かべたまま、否、更に深めて言った。

「もう、にぃとは呼んでくれないのかな?」

呼ぶ分けないだろ、と伊月は赤面しながら怒鳴った。
恥ずかしかったのか、いつもの冷静な伊月はいない。

「そうじゃなくて!俺の質問の答えは?」

少し低めの声で伊月が聞くと、メフィストは笑いながら言った。

「くく…。そうだ。
 ……ああ、そうそう。俊。お前に任務が来ている。」

いきなり話しを変えるメフィストにイライラしつつ、伊月はメフィストの話を聞いた。




「俊。明日から一週間。桐皇学園に行け。雪男も向かわせる。」





あとがき


わ、中途半端&クソgdgdな駄文ですいません(スライディン土下座
しかも、すごい遅くなりましたし…
すいませんでした。

あと…。
メフィストとか、キャラとかしゃべり方が不明です…。
迷子ですのでご注意を(遅いw)←

次回は、桐皇学園のお話です。

黒バス方面ばかりですいません…。ですけど、桐皇学園にいる悪魔を倒すお話です。