抗がん剤の副作用は

他人が目で見てわかる部分と

目で見てもわからない部分があります。

 

 

私は抗がん剤と分子標的薬を

組み合わせて治療をしていました。

 

 

抗がん剤や分子標的薬の

種類によって副作用はいろいろあるので

 

 

抗がん剤治療といっても

使っている薬の種類によって

 

副作用として出るものと

出ないものがあるし

 

個人差ももちろんあります。

 

 

私の場合

 

他人が目でみてわかる部分は

 

頭の毛が薄くなってるのは見ればわかるし

顔や足や背中のブツブツやただれ

指や足の爪の黒ずみ

指先のひび割れ

 

 

 

他人が目でみてわからない部分は

 

手足のしびれ

水に手や足が触れると凍った鉄に触れたみたいに

物凄く冷たく感じる。

 

舌も冷えたものを食べたり飲んだりすると

すごく冷たく感じるし

 

飲み込みと喉に小さなトゲが刺さるような

チクチクする痛みを感じる。

 

 

濡れた洗濯物を触っているだけで

手が痛くなってくるし

 

食器洗いは水を使うと手が痺れてくる

 

なので家事をするときには

ゴム手袋が必要だし

 

ゴム手袋をしていても

冷たさを感じれば手は痛いし

 

指先は常に痺れているような感覚なので

 

手袋をしていると食器を掴んでいる感覚が

余計に鈍くなるのでゆっくり作業をしないと

食器を落とす。

 

料理をするにしても

食材を洗う時に水を使うと

手が痛い。

 

お風呂洗いも水だと手が痛くなるので

 

水回りの家事仕事は

結構、やりにくいし

痛みも感じます。

 


肌を保護していないと

あかぎれのようになって血が出てくるので

真夏でも処方されたクリームを

毎日、一日中頻繁に塗っていました。

 

皮膚が弱くなっているので

日焼けは大敵だし

低刺激、無添加のボディーソープと洗顔料とシャンプー

 

 

これまで日常的に使っていたものは

使えなくなったり

 

 

これまで何も意識せずに

普通にできていたことが

できなくなったり

 

 

抗がん剤治療が始まってから

自分の体に現れた副作用によって

 

自分自身が周りより

劣っているように感じて

 

情けなくなったことは

何度もあります。

 

 

特に他人が目で見てわからない

副作用に関しては

 

特に情けなく感じたり

悔しく感じたりして

辛くなったこともあります。

 

こんな自分が嫌になって

自分で自分を

責めてしまっていたとき

 

朝ソイラテを飲みながら

空を眺めていた時に

 

 

ふっと思い出した

亡き母からの言葉。

 

母が病院に入院していたときに

母から手紙をもらったことがありました。

 

脳の病気で文字が書けなくなったから

わざわざ看護師さんにお願いして

母が話す言葉を看護師さんが代筆して

書いてくれた手紙にあった言葉。

 

 

「祐子は祐子そのものでいいんだよ。

ママは祐子を誇りに思っている」

 

 

この手紙をもらったときは

なんか最後の言葉みたいで

悲しくなって

「はい、はい。ありがとう」って

軽く受け取りました。

 

ちなみに母はこの2年後に

亡くなりました。

 

 

あの時の手紙から時空を超えた

母からのエールだと感じ

 

 

今、この私は

 

何ができても

何ができなくなっても

 

私という存在そのものは同じ。

 

 

私は私。

誇りを持って堂々と在ればいいんだと

 

ほっと穏やかな気分になりました。

 

 

それからは意識して

日常のちいさなこと

出来て当たり前のことができても

思うように出来なくても

 

よくできたじゃん。

よくやっているよ。

えらい。えらい。

すごいよ。

 

などと

自分で自分に

心の中で称賛の声をかけていたら

 

自分で自分を責めることが

少なくなり

気分が軽くなっていきました。

 

 

目で見てわかる部分でも

目で見てわからない部分でも

 

どこか一部分だけを見て

 

自他ともに

できないって評価は

 

その「存在そのもの」の

 

価値があるとかないとかに

まったく関係ないんだと

 

腹におちました。