ある夏の日曜日。
麦さんのおばあさんの緑さんは両親と都内のホテルにいました。
春野曾祖父:「今回のお見合いもだめみたいですね...」
春野曾祖母:「緑ももう24歳の年増ですし、加えてあの器量では...。
とてもお嫁の貰い手など見つかりませぬ」
そんな緑さんは、ラウンジの隣のテーブルの青年と楽しそうに話をしていました。
緑:「あら、じゃあ、あなたもお見合いなの?」
青年:「ははは、今回もだめでした...。
僕みたいななよなよした男にはお嫁さんなんか来ないでしょう」
春野曾祖母:「これ、緑! 何をしているの! そろそろ帰りますよ」
緑:「はい。それでは...」
青年:「あ、僕は李家若葉。また会えたら」
緑:「私は春野緑」
次の日曜日。
神宮前の春野家屋敷を一人の青年が訪問しました。
若葉:「緑さん!」
緑:「あら、あなたは...!」
若葉:「先日ホテルのラウンジでご一緒した李家若葉です!」
緑:「どうしてうちがわかったの?」
若葉:「だって君の家すごく有名だもん、すぐわかっちゃった。
メロンをたくさんいただいたのでおすそわけに。
僕の家は松濤だからすぐ近くだよ」
それから、緑さんと若葉さんはちょくちょく一緒に遊ぶようになりました。
そんなある日のこと。
春野曾祖父:「緑、お前最近李家の坊ちゃまと親しいそうだな」
緑:「はい、とても素敵な友人です」
春野曾祖父:「李家家は大変な名家...その嫡男となれば、
あまたの縁談があろう。
お前みたいな縮れ毛で不器量な年増など本気で相手にしてくれまい」
緑:「うう...」
李家家では。
李家曾祖父:「若葉、お前最近親しい女性がいるとか」
若葉:「はい、春野緑さまといいます。
大変素敵な方で、近々結婚を申し込もうと考えているのですが...」
李家曾祖父:「緑さんは春野財閥の一人娘...。
とてもお嫁になど出してはもらえまい。
だが、財界と縁を結ぶチャンスでもある。
若葉、婿に行ってみないか」
若葉:「え、いいのですか?」
李家曾祖父:「李家家は他の者に継がせる。
春野家には李家家から正式に申し込もう」
こうして緑さんと若葉さんは結婚し、
その翌年には娘・さくらをもうけることができました。