あまり落語に詳しくなく、今回のニュースで初めて三遊亭天歌という人を知ったという方も沢山いらっしゃると思います。

自分のような若輩者に出来る事は何も無いのですが、本当に何も無いのか?と考えた結果、私が思う天歌兄さんの人柄を世間の方々に知ってもらう事位は出来るかなと。

何も問題は無いと思います!


兄さんとの笑えるエピソードも沢山ありますが、今回は控えて真面目に徹します。


天歌兄さんは私より半年程、先輩でありまして、楽屋入りした時に教育係りとして楽屋仕事を教えて頂きました。

12年の付き合いになりまして、お互い二ツ目になってからも、兄さんの地元、宮崎の巡業の仕事にゲストで呼んで下さったりと大変にお世話になっております。

勿論先輩ではありますが、香盤も近い事から甘えさせて頂いており、先輩であり、友人であり、大事な仲間と思っております。


天歌兄さんの人柄を一言で言いますと、大変に穏やかで、のんびりやで真面目な人と言う印象です。

厳しい環境で修行をしながらも、兄さんが下の者を叱責したり、手を上げたり、嫌味を言っている姿を見た事がありません。

これは当たり前の事のように思えて、実は大変に難しい事だと言う事を、私はこの世界に入って気付きました。


また小さな事をコツコツと積み重ねる、忍耐強さや我慢強さを持ち合わせております。

自らの二ツ目の披露目では40日間、毎日違う新作落語をかけ続けると言う離れ業をやってのけました。
兄さんの奥ゆかしい性格もあり、さほど話題にはなりませんでしたが…。


芸人にしては珍しい位に穏やかで、自らを進んでアピールしたり、人を蹴落としてでも前に出るんだと言うガツガツした所が殆どありません。

以前には神田連雀亭の番頭も務めており、色々な企画を考えては出演者を集め、公演を成功させております。
そこでも自らをアピールする事は無く、とことん裏方に徹し、受付や場内整理を黙々とやっておりました。

自分の事よりも周りを優先できる稀な噺家です。


およそ芸人らしく無い、このような兄さんの人柄は何処から出来上がったのか不思議に思っていたのですが、宮崎に伺い御家族や御友人、地元の方々と触れあい納得しました。

宮崎の方は何処までも暖かく、のんびりとされており、温和で人の好い方々ばかりです。

地元のバックアップは素晴らしく、沢山の方々の支えがあって、毎回宮崎巡業は成り立っていて、皆様から落語と三遊亭天歌を応援したいと言う熱を強く感じました。

それも兄さんの人柄からくるものでしょう。


前座の頃から幾度となく丸坊主になっている姿を見ておりますが、兄さんの口から師匠に対しての愚痴や不満を聞いた事は、ただの一度もありません。

その為、仲が良いと思っておきながらも、ここまで深刻に悩んでいる事に気付く事が出来ませんでした。

仲間内の信頼も厚く、私と同じように応援や心配をしているけれど、何も出来ないと言うもどかしさを抱えている人も数多くいる事と思います。

兎に角、物事が良い方向に進んでくれる事を願うばかり。

また宮崎に呼んでくれ!!