東京急行電鉄は14日、保有していた日本航空株を全株売却し、投資有価証券評価損として90億円を2010年3月期の特別損失に計上すると発表した。09年11月末から10年1月にかけ、証券会社に依頼して市場外で全株式を売却した。売却単価は平均で77円。(1/15日経新聞朝刊9面抜粋)
会社更生法の適用がほぼ確定しつつある日本航空の筆頭株主である東急電鉄が、ひそかに日航株の売却に動いていたようです。
私的整理による上場維持の可能性もある中で(会社更生法適用後も上場維持の可能性は残されているみたいですが)、ぎりぎりの対応でしたね。
昨日の終値が7円ですので、平均売却単価77円は不幸中の幸いだと思います。
では、この記事を会計的な観点から見てみましょう。
東急にとって日航株は、「関係会社株式」に付、勘定科目は「投資有価証券」です。
投資有価証券の評価損は、純資産直入法(東急は全部純資産直入法を採用)により、
(借方)その他有価証券評価差額金 XXX (貸方)投資有価証券 XXX
と、P/Lには影響しません。
しかしながら、「市場価格のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められるものを除き」(金融商品に関する会計基準20項)、減損処理をする必要があります。
日航株の9月30日の終値は132円、昨日の終値は7円。下落率95%に付、「著しい下落」。
企業再生支援機構による再生は少なくとも2年はかかるので、その水準まで株価が回復する見込みはなし。
よって減損の必要があります。
(借方)投資有価証券評価損(特別損失) XXX (貸方)投資有価証券 XXX
こうなる前に、東急は株式を売却したわけです。
(借方)投資有価証券売却損(特別損失) 90億円 (貸方)投資有価証券 90億円
これが東急の会計処理です。
税引後のインパクトは約54億円ですので、税引後利益150億円の企業としては、死活問題なわけでした。
日経新聞によりますと、平均売却単価が77円、売却株式が8,042万株とありますので、日航株の簿価は約189円と計算できます。189円が紙くずになりますと、税引後で約91億円のマイナスインパクトになります。150億円を吹っ飛ばすまではいかないですが、あと少し業績を下方修正しただけで赤字決算です。
10/03決算で東急電鉄が黒字決算ならば、同社の役員は胸を撫で下ろすことでしょう。
OB年金問題等が注目の日本航空ですが、やはりこれだけの大企業が破綻すれば影響は測り知れないですね。
責任を取るべき人が責任を取らなければ、国民の税金を使用した再生支援には納得ができないですね。