駅まで あと5分ってところで 信号に 引っかかってしまった。

しかも 沈黙になってしまう……気まずい。

早く 信号がわかってほしいと 思っていると

ぼそっと

「僕 大西さんからの メールずっと 待ってます」

「………」

思わず 先生の方を見るも 先生は まっすぐ 前を向いたまま 表情を変えることはないまま
すると
信号が 青に変わり 私はアクセルを踏んだ。

又 しばらく 沈黙がつづく

駅までは3分とかからない距離なのにこんなに 
長く感じた事はなかった。

ようやく 駅に着くと 先生は
先程の 言葉はスッカリ忘れているかのように
爽やかな笑顔で

「助かりました。 ありがとうございます」 と
頭を下げ シートベルトを 外した。

「いいえ とんでもないです」と 返事をする私に
背を向け ドアに手をかけ ドアを開けようと
した時      フッと 振り返り

「やっぱり  ぼく……
こんなチャンスないと思うので…
はじめて会った時から ずっと 気になってました。  あなたのことが頭から離れないです」

「……………」

バタン! 

先生は そう告げると
車から降りて 駅へと歩いて行った。


私はしばらく 呆然と 車の中で 動けないでいた。