父親が利害目的で親権を主張してきたら

北海道旭川 離婚カウンセリング「結婚生活や離婚に悩む人の伴走者」山咲みき
母親にとって、子供を盾に取られることは一番辛いことですよね。
今回はそんな相談です。
5歳、2歳の子供がいる主婦Hさん
主人の外泊や外で遊ぶ癖がひどく、一年ほど前から別居しています。
そのうち半年間、生活費として2~3万もらっていました。
こんな生活を続けていても仕方ないと思い、私から離婚を切り出しましたが、主人は「離婚するなら子供二人は渡さない」と言います。
ですが別居中、主人が子供に会いたがったのは数回しかありません。
一度調停で話し合いましたが主人は離婚に承諾せず、不成立で終わっています。
私は離婚が成立して親権が得られれば、他は何も望みません。
離婚と親権について、もう一度調停で話し合えるのでしょうか?
こんな状況でも親権は主人に取られてしまうのでしょうか?
・・・と言うご相談です。
調停は何度でもできますが、「離婚したい・親権は渡さない…」の話しだけだと、同じ事の繰り返しで決着がつきません。
今度調停にかけるとしたら、「離婚と婚姻費用」について同時進行で申し立てしましょう。
「子供との生活の為に婚姻費用を先に取り決めたい」ということですね。
ご主人が「離婚しない、親権は渡さない」と主張するなら、父親の義務として生活費を払うべきですし、それを拒否するようなら話が矛盾すると反論できます。
まずは「婚姻費用の支払い」を承諾させられたら、養育費より金額が高い婚姻費用を払ってでも離婚しないと言い続けるかどうか・・・。(婚姻費用の算定は収入や子供の年齢、人数によって変わるので調べてみてください)
離婚となれば養育費だの慰謝料だのと不利になるから、あなたが絶対承諾しないのをわかっていてわざと親権にこだわって離婚しないままダラダラと別居生活を続けるつもりなんじゃないでしょうか?
そこでまずは「婚姻費用」を取り決めて、相手の出方をみる。
あなたがきっちりとした婚姻費用を請求しないまま別居しているとしたら、ご主人にとっては都合のいい事だと思いませんか?
しっかりと義務と権利を主張して、ご主人の矛盾や言い逃れを許さない態度が必要だと思いますよ。
また、「慰謝料はいらないけど、親権は確実に確保したい」というなら、逆に慰謝料請求する事も考えてください。
実際に支払ってもらうことが目的ではなく、ご主人が親権を盾にして利用している場合、目的は「養育費も払わずに離婚もしないで自由でいられる」事ですから、「親権はいりません。慰謝料は請求します」と言えば、ご主人は逆に厳しい選択を迫られることになります。
そこで「慰謝料が払えないなら親権だけはください」と、こちらから妥協案を提示することができます。
もともと慰謝料など希望してないのですから、母親が親権を主張することは認められる可能性は高いはずです。
ご主人の言い分には矛盾が多く、段階を踏んでひとつづつ選択肢を狭めていくことでご主人が離婚に応じて親権を主張できない状況に追い込んで行くことが必要になって来ます。
今までのあなたはご主人の言い分に振り回されて、何としても自分が子供を守るんだという意識が足りなかったかも知れません。
これは「交渉」ですので、感情論だけで攻めても上手くいかないのです。
子供を盾に夫婦が争そうのは醜い事ですが、そもそも子供を盾に勝手な事をしているのはご主人のほうですから、あなたは母親として純粋に、子供を手元から離さないために戦わなくてはならないのです。