夏の終わり。世界中のだいたいの割合を占める俺たちみたいなヤツらは、夏の始まりに夢を馳せた計画を振り返る。そして結局は「今年の夏も何もなかった」と、人知れず肩を落とす。でもさ、今年の夏も悪くなかったよな。


ハローお前ら。
未だに強く残る夏の残り香に紛れた、芽吹き始めた秋を探している俺だ。


夏はいいよな。どんな生き物も命が脈打つ、日本で一番熱い季節だ。
一期一会に胸を膨らませ遠出をしたり、普段出来ないことに夢中になれたり。

あんたの夏はどうだった?

俺の夏はいつも通りさ。週に1回の休みに予定を組んで、でも寝坊して、何も出来ずにだらだらしてたら日が暮れる。日が暮れたら明日に備えて早く寝る。休みの前日に仕事終わりの足のまま飲みに行って、運の良いときには一夜の付き合い。

決して夏を満喫したわけじゃないのに、べらぼうに美味いコーヒーと共に好きな音楽を聞き終えたような気持ちよさがあるんだよな。
祭りのあとみたいな、血がゆっくり冷めていく感覚。

もしかすると俺が好きなのは、夏じゃなく夏の余韻なのかも知れないな。

来年こそ海に行くぜ。



また来てくれよな。