垣根涼介さんの小説の登場人物は、主人公はもちろんのこと、少ししか出てこない脇役達まで魅力的。

その人物の葛藤やポリシーが丁寧に描かれています。

この小説は、様々な業種の企業から要請を受け、リストラ業務を請け負う会社の社員が主人公。

この不況の時代にはピッタリの背景と言いますか…

理不尽な状況に追いやられ、当たり前の正義さえ貫けない。

それでも、生活のため、家族のため、世間体のために会社にしがみつく。

自分ならどうするか、追い詰められた状況で自分の本当の幸せを判断できるか、何を理由にしがみついているのか…

色々考えさせられます。

そして、魅力的な登場人物達に気付かされたり、励まされたり。


《人当たりがよく、穏やかで芯が強い、本当に賢い女性》

《不条理な状況に追いやられながらも妻を愛し、嘘やごまかしを捨て家族と誠実に向き合う努力を精一杯する男性》

ポリシーを持って物事に対処し、最後までそれを貫ける人は爽快で素敵だと思うけど…

そんな風にできる人、なかなかいませんよね。。。

仕事においてだけじゃなくても、その時の感情でポリシーが変わり、言い訳してるなんて事もよくある話。

そうですねぇ、例えば…                         「あのコのためを思って注意したのに逆ギレされてぇ~、すっごいムカついたわむかっあのコ最悪じゃない!?

なんてのもそうですよねぇ。

《おいおいパー初めは誰のためを思ってしたことなんだっけ?》


という具合に。


《最初はアイツの味方してあげようとしたのに逆ギレするならこっちの方に私の味方してもらうわ!》

みたいな事をおかしい事とも思わずにしていたり

まぁ、かといって根気よく最初の気持ち通りにその人のためを思って諭し続けるなんて肉親でもなきゃなかなか続くもんじゃないんでしょうな。

人とどう関わりたいのか、仕事をどういう位置で捉え、自分の居場所をどういうものにしたいのか。

私も今模索中です。

参考にさせていただくためにも、もう少しこの小説の登場人物の人生を覗き見したいので続編の「借金取りの王子」も読んでみるつもり。