この本は、拉致被害者であり、現在翻訳家として活動されている蓮池薫さんの《取材を兼ねた韓国旅行記(ブログ)》をまとめたものなんですね。

拉致された当時の事や、北朝鮮での生活事情も書かれてはいますが、主は韓国旅行を通して感じた事や、翻訳家としての生活や出会った人々についての蓮池さんの想いが綴られています。


賢(さか)しらな事を言うようで少し憚られるのですが、私的には、エッセイやブログは、ただ事実や情報、決まりきった言葉や感想が並べられているものではなく


「その人が物事をどう捉え、どんな事に心を動かされ、どう迷い、どういう考えを基に人生を選択し、向き合っているのか」

そういった事が垣間見えた時に「面白い!」と感じ、興味をそそられますニコニコ

そういう意味でもこの本は大変興味深く、刺激的なものでしたよアップ

蓮池さんの人柄がほわほわと伝わってきます。

この人は私には想像がつかないくらい悲しく辛く、悔しい思いをしてるはずなのに…

そうとは思えないほど、優しく柔らかい文章を書いてるんです。

読み手を不快にさせないような心配りが行き届いていて、「私もブログを書く際には見習わなければ」と思いましたよ。

言葉は人を愉快にも不愉快にもさせますからね。

蓮池さんはすでにプロの物書きとしての人生をスタートさせている方ですから、文章や言い回しが上手なのは当たり前と言えば当たり前なのですが…

テクニックに感心しただけではなく、著者の素直な人柄に触れられたような気になれ、とても楽しく読ませていただきました音符

韓国には、日本でいういわゆる「喜・怒・哀・楽」の4つの感情の他に「恨(ハン)」という感情があります。

韓流ドラマには必ずと言っていいほどヒロインの敵役が登場し、この「恨」の感情が描かれていますね。

日本人はこの「恨」を剥き出しにするのは恥ずかしい事としているのか、韓流ドラマほどには日本のドラマではわかりやすく出てくることは少ないですよねぇ。

これも文化や歴史の違いなんでしょうか。


本では朝鮮半島の悲しい歴史にも触れられています。


そして私にとって最も刺激的だったのは、蓮池さんの仕事に対する考え方や姿勢です。

皆さんも、読み終わったら、暗く、悲しい気持ちになるのではなく、明るく、前向きに、チャレンジしてみよう!という気になれたりするんじゃないかなキラキラ


辛い経験をしてるはずなのにどうしてこうも優しい考え方ができるのだろう…と思っていましたが


辛い経験をしてるがゆえの優しさなんでしょうね、きっと。

《悲しい事や辛い事が多いほど人は優しくなれる》

とよく言いますが

辛い出来事や悔しい経験を「恨」ではなく、他のプラスの感情に育てていけるかは自分次第。

私も今までの人生経験の中での「悲しい出来事や悔しい経験」を他のものへと転換できるよう、チャレンジを続けていきたいなぁニコニコ

だって私は自由なのですから。


拉致被害者の本というと、暗く、重く考えてしまう方もいると思いますが…

これはユーモアも交えてある、素敵な本でしたょひらめき電球