日曜に行った広重『六十余州名所図会』展の続きです。

今回は、東山道、北陸道、そして山陰道で気に入った作品。

 

近江 琵琶湖石山寺(滋賀県)。

琵琶湖周辺の8つの名所を近江八景と呼ぶらしい。
左側の山に石山寺があるはずなのですが、広重は描いていない。
見る人に想像させようとしているのかな。
 

上野 椎名山雪中(群馬県)。

これは、主に白、紅、広重ブルーの3つに色が抑えられていて、冬の静けさが伝わってくるようでした。

 

下野 日光山裏見ノ瀧(栃木県)。

これは、日光の荒沢の滝らしく。
滝壺から、雲の様な靄が立ち込めていて、滝の勢いが伝わってきます。

 

陸奥 松島風景富山眺望之略図(宮城県)。

あの有名な松島なんだけど、なぜか島の名前がいっぱい書かれてる。

何故だ?

これだけ、めちゃくちゃ実用的やん。


若狭 漁舩鰈網(福井県)。

よく見ると、網にかかった魚を描き分けているんです。
水面下の魚はシルエットで、水面より上に跳ねている魚は着色されています。
さすが広重、芸が細かい。

 

能登 瀧之浦(石川県)。

なぜか、左側の岩山にだけ「高巣岩」ってっキャプションがある。
このシリーズ、数枚だけ、島の名前などが書かれているものがあって、なぜ?って思ってしまった。

 

出雲 大社ほとほとの図(島根県)。

出雲大社にお参るする女性を描いているのですが、女性と3本の木だけ着色されてて、あとはシルエットになってる。
夜の雰囲気が伝わってきます。
これには、広重ブルーが使われてないのが淋しい。

 

隠岐 焚火の杜(鳥取県)。

これこれ!
こういう構図がいいんです。
被写体を全部入れるんじゃなくって、思い切ってカットすることで、広がりを感じさせる。
そう言えば、私が取る写真も時々、こんなふうに被写体カットしてるなぁ。
広重の影響かな?
 

広重の『六十余州名所図会』は、次回の番外編を挟んで、その次で最終です。