あんしんゼミ
社会保障の仕組みや制度を、教授とゼミ生の会話でやさしく解説します。
どんな行為がDVにあたるの?
ゼミ生 DVって何ですか。
教授 ドメスティック・バイオレンスの略で、配偶者や恋人など親密な関係にある人や、過去にそうした関係にあった人からの暴力のことです。家庭内の問題と受け止められていた時代もありましたが、重大な人権侵害を防ぐため、被害者を守るDV防止法が2001年に成立しました。全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は20年度に過去最多の約12万9000件になり、22年度は約12万2000件と深刻です。
精神・経済面でも
ゼミ生 どんな暴力がありますか
教授 殴る、けるなどの身体的なものに限りません。「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」などと暴言を吐いたり、生活費を渡さなかったりすることも含まれます。性行為の強要や避妊に協力しないなどの性的な暴力もあります。我が子の前でパートナーを殴ったり、暴言を吐いたりする「面前DV」は、子どもに対する心理的虐待にも当たります。
ゼミ生 被害に遭うのは女性だけですか。
教授 多くは女性ですが、DV防止法は被害者を女性や、婚姻関係にある配偶者に限定していません。同性カップル間の暴力でも、裁判所が加害者に被害者への接近などを禁じる「保護命令」を出したケースがあります。
ゼミ生 DVが起きる要因は?
教授 暴力を振るう理由は様々ですが、社会的な背景として、男性が女性を対等に見ないような考え方がいまだに残っていたり、男女間で雇用形態や賃金に格差があったりすることが挙げられています。家事や育児の負担が妻に偏り、夫の収入に頼らなければ生活できない家庭では、被害者が簡単には逃げ出せない場合もあります。
相談 支援機関や警察へ
ゼミ生 被害に遭ったらどうすればいいでしょうか。
教授 「#8008」に電話をすると、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。シェルターなどの一時的な保護施設や、住まいや仕事などの生活の再建について助言してくれます。相談窓口「DV相談+(プラス)」は、電話(0120・279・889)のほか、チャットやメールで受け付けています。警察も対応してくれるので、まずは相談してみましょう。
ヨミドクター2023年12月24日閲覧