「お前バカか」吐いたものを息子に無理やり食べさせ…連鎖するDV 夫の暴力に妻は


DV=ドメスティック・バイオレンス。 元夫からDVを受け、2人の息子とともに今もPTSDに苦しんでいる、鳥取県在住の女性に、話を聞くことができました。

「自分の家族もフィリピンにいて、また出会えるかどうか…、すごく怖かったです」 こう話すのは、鳥取県内に住む、フィリピン国籍のマリアさん(仮名)。 
元夫からのDVに長年悩んできました。 現在は1人で、2人の息子を育てています。

元夫は、交際していた時は優しかったそうですが、次第に口論が増え、結婚2年後のある日、ついに暴力を受けました。

その日は、元夫と口論になっていたと言います。

マリアさん(仮名) 
「彼とけんかのような感じになっていました。そうしたら子どもの目の前で、子どもがまだ3歳になったばっかりの時だったんですけど、いきなり私の頭を持って、床でゴンゴンされました。私は女の力ですから…」

身の危険を感じたマリアさんは、一時的にシェルターに避難。

それから2週間後、家に戻りました。 身体的な暴力はなくなりましたが、当時、まだ日本語が上手く話せず、文化の違いに悩んでいたマリアさんに対し、精神的な暴力は続きました。

マリアさん(仮名) 
「オーブンレンジの使い方が私が分からないので、バカ、お前バカか、お前アホか、お前レンジ壊すのかって言われて…」

そして暴力は、2人の息子にも及びました。 マリアさんが仕事で家にいない時、体づくりと称して息子が吐くまで食事をさせ、さらには吐いたものを子どもに無理やり食べさせることもあったと言います。

また、子どもに正座をさせて、夜中まで厳しく勉強させることもあったそうです。

そして、こんなことも…。

マリアさん(仮名) 
「ネコが変なことをもうしないようにって、子どもがネコを捕まえて首を絞めていたんです。なぜそんなことをするのかと聞いたら、「お父さんから教えてもらった」と話しました…」 元夫も

元夫も幼少期、親からの暴力を受けていた…

いたずらをした飼いネコのしつけのために、子どもがネコの首を絞めていたと言います。 子どもは、父親を真似ただけで、悪いことだという認識はありませんでした。

やがて、マリアさんと2人の息子は、心的外傷後ストレス障害=PTSDなどを発症。

「このままだと子どもを守れない」「子どもも誰かに暴力をふるってしてしまう」。 そう感じたマリアさんは2人を連れて家を飛び出し、2021年2月に離婚しました。

鳥取県の2021年度のDV相談件数は1020件。 DV根絶に向け、毎年11月12日からの2週間は「女性に対する暴力をなくす運動」期間として、各地で啓発活動が行われています。

鳥取県内でもパネル展示や、女性に対する暴力根絶のシンボル「パープルリボン」にちなみ、公共施設などを紫色にライトアップする取り組みが行なわれています。

元夫からのDVに苦しんだマリアさんですが、「元夫を救いたかった」、そんな思いもあったと話します。
 実は元夫も幼少期、親からの暴力で体と心に傷を負った1人でした。

マリアさん(仮名) 
「彼も被害者だったんです。誰かに本当に愛されていたら、多分旦那さんもね、正しいことちゃんと分かると思う…」

繰り返される暴力は、大人の手で断ち切る必要があるとマリアさんは話します。

マリアさん(仮名) 「間違ってることは続けないように、自分が立ち上がって欲しい。自分が戦って欲しいと思います」

鳥取県などでは、暴力を受け悩みを抱えているときは1人で悩まず、まずは、警察や専門の相談窓口に相談してほしいとしています。

山陰放送2022年0月01日閲覧