
現役アナウンサーの和田奈美佳さん【写真:Hint-Pot編集部】
コロナ禍で迎える3回目の夏本番。第7波が警戒されますが、直接対話の機会が以前より増えている人も多いのではないでしょうか。そんな中、最近よく耳にするのが、「久しぶりの対話で、言葉がスムーズに出てこない!」という悩み。コロナ禍での会話不足により、本来持っている語彙力をうまく活用できなくなっている方も多いようです。そこで今日は、誰でもできる語彙力の鍛え方をレクチャーします。
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同じ言葉や表現を使いがちな人がやるべき「言葉の増やし方」とは
語彙力とは「その人が持っている単語の知識(語彙)と、それを使いこなす能力(力)」のこと。つまり、言葉の選択肢が豊富なだけでなく、その知識をどのようにコミュニケーションに生かすかが大切です。これは自分の意見を話したり、文章にしたりする上では欠かせないスキルです。また、会話を通じて良好な人間関係を作るためにも重要です。
それでは語彙の乏しさに悩んでいる方の問題とは何でしょうか? それは、「同じ言葉・表現を繰り返し使ってしまう」ということです。対話の中で言い換えの言葉を知らない、言葉の引き出しをスムーズに活用できないことが原因で、同じ言い回しや表現を使ってしまうのです。特に、返答時に口グセがある方は要注意です! では、本題である「言葉の増やし方」について紹介します。
言葉(語彙)のインプット時間を増やしましょう!
最初に、自分自身の語彙能力を体感するためのチェック方法があるので、ぜひ挑戦してみてください。
目の前にペットボトルのお茶があります。これを誰かに説明することを想定して、自由に表現してください。制限時間は15秒で、5パターンを考えてみてください。
<例>
・お茶が入った500ミリリットルのペットボトル
・ラベルに「茶」と書いてあるペットボトル
・誰も口を付けていない500ミリリットルのお茶
・鮮やかな緑色をしたお茶
・飲料メーカー500ミリリットルのお茶
このチェックを通して2~3パターンしか表現できなかった方は、意識的に語彙をインプットする時間を持つことが必要です。まずは活字に触れることからスタートしましょう! 新聞や携帯で手軽に得られるニュースコンテンツ、SNSなどを通じて、活字に触れる時間を増やしましょう。
もしこれが難しいという方は、電車の吊り革やポスターなどとにかく目に入った活字を見るだけでもかまいません。分からない言葉があった場合は、スマートフォンなどの検索で意味を確認しましょう。いろいろな言い方を少しずつ自分の知識として蓄えることで、思考は広く深くなります。
ちなみに私は、「毎日5つ新しい言葉に出会うこと」をテーマに、生活するように心がけています。1か月で5×30日=150個の、新しい言葉の習得につながります。普段何気なく使っている言葉でも、どのような場面で使用されているのか、少しだけ意識することにより、言葉への興味も湧いてくるはずです。
言葉(語彙)のアウトプット時間を持ちましょう!
インプット(記憶に定着)した言葉をどう表現できるか、声に出して確認する。
例えば、先ほど例題で挙げたペットボトルのお茶についてですが、見た目の特徴だけでなく、成分や特性、味などを一言付け加えるだけで、相手が具体的に理解できる表現になります。
「かわいい」「すごい」などの形容詞の多用はNG!
私たちは普段の生活の中で、無意識に形容詞を多用しています。例えば、「かわいい」「すごい」「おいしい」「うれしい」「楽しい」などの簡単な形容詞を、会話の中で何気なく使ってしまいます。しかし、このような形容詞を多用すると、非常に大ざっぱで抽象的な印象を相手に与えてしまうのです。
例えば、「このお茶はおいしい」と漠然と表現するのか、それとも「このお茶は淹れたてのような緑茶の香りがしておいしい!」と表現するのかで、受け取り側の印象がガラッと変わってしまいます。このような具体的な表現方法を、自分が持っている言葉の引き出しにプラスアルファするだけで、自分の表現力に自信を持てるようになるでしょう。
日常生活で無意識に使っている「言葉」とどう向き合うのか、少し意識するだけで、語彙だけでなく表現方法も変わり、また自分の表現力に自信が持てるようになります。ぜひ実感してください。
和田 奈美佳
Hint-Pot2022年7月28日閲覧





