
今週お送りしている「SDGs北海道から未来へウイーク」。HBCでは、道内の様々なSDGsの課題や取り組みを紹介しています。 今回は、目標3番「すべての人に健康と福祉を」です。 「自分たちの子どもを持ちたい」そう願うのは、LGBT=性的少数者も同じです。新しい命を授かったあるカップルと、それを支える人達の挑戦が始まっています。 医師 「赤ちゃんの心臓が動いているのが確認できますね」 千歳に住む、きみちゃん。今、お腹の中には、8か月の赤ちゃんがいます。きみちゃんは、体は女性ですが、心は男性のトランスジェンダーです。 パートナーのちかさんは、男性としてうまれ男性を好きになるゲイ。2人は、心は男性どうしのカップルです。 ちかさん 「子どもが欲しいというところもあったので、性別を戸籍まで変えずに(きみちゃんが)女性でいてくれるから」 男性として生きたいきみちゃん。しかし、日本の場合、戸籍の性別を変えようとすると、卵巣など生殖腺をとらなければなりません。同性婚も認められていないため、子どもを産むため戸籍上の性別を変えず、婚姻届けを出しました。 札幌医科大学産婦人科学講座・新開翔太助教 「心が男性の人であれば、妊娠自体希望しないはずですから、身構える感じはありました」 新開医師によりますと、トランスジェンダーの妊婦の出産は、道内では報告が見当たらないといいます。 新開医師 「(子育ての)スタート地点でつまづくことがないように、僕らでなるべくサポートしていければ」 きみちゃんは、3年間、体を男性に近付ける治療を行ってきましたが、子どもを持ちたい思いから、中断していました。 助産師 「下から産むのは?」 トランスジェンダーの妊婦・きみちゃん 「想像がつかない…なるべく(体を)傷つけないでってパートナーは言ってる」 LGBTカップルの出産。初めてのことに医療現場は… LGBTのカップルとして出産に臨むきみちゃん。 助産師 「われわれも初めてだから教えていただけるとうれしい」 性的少数者のニーズにどう応えるか手探りでの対応が始まりました。 きみちゃん 「これが頭でこれがお腹で…」「ちかさんはずっと子どもの時から、自分は子どもを持つことができないと思って生きてきたって話をしてたので」 性的少数者の中でも、さらに少数となることに、不安もあります。 きみちゃん 「海外の人で、ゲイカップルで片方がトランスジェンダーの人がいた。たまたま『自分は子どもを産める男性だった』っていうのを読んだときに、そう自分も思えたらいいなと思って」「性別って言いましたっけ(ううん、どっち?)女の子です。早く会いたいなとは思いますけど」 子どもの名前の漢字はすでに決めています。希望の「希」。 ちかさん 「将来希望にあふれた子に育ってほしい」「こういう家庭もあるってことは、受け止めなくても理解だけはしてもらえればいいのかな」 きみちゃん 「隠れて生活している人はいっぱいいると思うので、そういう人に少しでも希望じゃないですけど…なれたらいい」 新たな命は「自分の子どもを持ちたい」と願う全ての人達の新たな希望となるはず…。誕生まで2か月です。
北海道放送2021年12月4日閲覧