外務省は23日の閣議で、2019年版の外交青書を配布した。北朝鮮に関する記載を大きく変え、18年版にあった「圧力を最大限まで高めていく」などの表現を削除。ロシアについて「北方四島は日本に帰属する」との表現を削った。拉致問題や北方領土問題の打開に向け、北朝鮮やロシアへの配慮をにじませた。

【写真】北海道・根室半島上空からのぞむ歯舞群島(手前)と色丹島(最奥)=2018年12月11日、朝日新聞社機から、藤原伸雄撮影

 北朝鮮の項目で「圧力」や「脅威」との表現をやめ、昨年6月と今年2月の米朝首脳会談などを列挙し、「国際社会が一体となって米朝プロセスを後押ししていく」との表現にとどめた。拉致問題は18年版と同様、「主権や国民の生命と安全に関わる重大な問題」と指摘。「拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ない」と記載した。

 ロシアの部分では、18年版で強調していた北方四島の帰属については触れず、これまでの日ロ交渉の過程を明記。「両首脳の強いリーダーシップの下、領土問題を解決して平和条約を締結すべく、交渉に粘り強く取り組んでいく」とした。

 一方、韓国については、慰安婦問題や日本企業に賠償を命じた元徴用工をめぐる韓国大法院(最高裁)判決を詳しく記載。「非常に厳しい状況に直面した」とし、18年版にあった「日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく」などの前向きな表現を削除した。

 外交青書は毎年発行され、国際情勢や日本外交について政府としての現状認識や方針が示されている。


朝日新聞4月23日


日本国は、どこにながれていくのだろうか?