ユーロ
英国のEU離脱が前進したようですが、世界史の中で、やはり欧州は特別な位置を占めると思います。
欧州各国間の紛争が絶える事はなく、やがてそれは欧州外の世界をも巻き込みました。
争いをなくすにはどうすればいいか、と言う理想を求めざるを得ない状況を背景に、EUに結実していきます。
そしてユーロが誕生しました。
米国の覇権と基軸通貨ドルは不可分で、政府が発行するドルで世界中の原油を含むすべてのものやサービスが購入できます。
基軸通貨国でない国で輸入が輸出よりも多い赤字が増えれば、その通貨はやがて下落しますが、ドルだけはいくら輸入を増やしても下落しません。
全ての国がドル紙幣を受け取るからです。
フランスはこれと同じ強い通貨を持ちたいと考え、ドイツを説得して自国の弱さを補うシステムの構築に成功しました。
第二次大戦はドイツと日本が米英と戦いましたが、日独の生産力が強くなってきたため、叩かれた、と見る事もできます。
その証拠は、戦後のこの両敗戦国の経済発展を見れば分かります。
輸出力が増し、通貨が強くなれば今度は価格競争力が下がりますから、為替は均衡します。
しかしドイツにとってユーロはいつまでもこの通貨高が起きない訳ですので、輸出を増やし続けられるメリットもあります。
為替変動による輸出入の不均衡是正装置が働かないという、非常に厄介な、その厄介さによって結局は軋轢の起きてしまう、そういう仕組みがユーロな気がします。
ひとつの欧州は理想かも知れませんが、共通通貨と言う為替の固定化によって経済力の不均衡が是正されないなら、いつかは再び分裂するしかないのではないでしょうか。