2016.03.29(火)【出資の価額】(金子登志雄) 

 昨日話しました通り、本日は3月決算会社の「権利落ち日」ですので、これ
に触発されて、株式の取得価額と出資価額の相違を考えてみました。

 合同会社の設立定款では、社員ごとに出資の価額を定款に記載します。株式
会社が組織変更で合同会社になったり、合同会社に合併されたりした場合も、
株主が合同会社の社員になる限りは出資の価額を記載しなければなりません。

 さて、1株5万円で発行された株式が転々流通し、Aが取得した時には20
万円になっていたというときに、Aの出資の価額はいくらでしょうか。

 これは5万円でしょう。会社への入金額と株主の取得価額とは相違します。
では、この会社が過去に1株8万円、10万円、12万円、15万円で新株を
発行していたとき、Aの出資の価額はいくらかというのは分かるものなのでし
ょうか。

 株主名簿がしっかりしており、Aまでの取得経路が分かれば出資の価額も分
かりますが、分からなかった場合はどうなるのでしょうか。

 これ、会社法制定後に商業登記倶楽部の神崎先生経由で質問してもらったこ
とがありますが、どうも、持分会社になる場合は株主全員の同意が必要なので、
適宜定めてよさそうです。

 ずっとその段階で今日まで来ましたが、最近になって、コトはそう簡単には
終わらないことに気づきました。定款に記載された社員の出資の総額と合同会
社の資本金と資本剰余金の合計額が一致しないと、定款と貸借対照表の不一致
が生じてしまうからです。

 幸い、こういう複雑な事案が生じていないので、いままで何も問題とされて
いませんでしたが、今後も同様でしょう。合同会社に組織変更する会社は株主
1名又は数名以内がほとんどですから。


2016.03.28(月)【配当生活】(金子登志雄)

 長らくサボっていましたので上記のようにTOPICSを整理いたしました。
8冊もあるじゃないですか。しかし、ここで何度も書いているように実務書は
何万部の小説と相違し、2、3000部も売れれば「御の字」の世界ですから、
印税生活など無理です。コンビニのアルバイトのほうが効率がよいでしょう。

 では、銀行が当てにならないマイナス金利のご時世に、株式投資による配当
生活であれば、いくらあれば生活が可能かと、土日の暇つぶしに調べてみまし
た。というのは、3月決算会社の配当基準日が3月31日でも事務処理の関係
で本日が権利確定日だからです。明日購入しても「権利落ち日」で配当にあず
かれません。

 上場会社3500社中、配当しているのは3000社近くで、配当性向のよ
い会社は5%程度のようです。ヤフー・ファイナンスによると、大塚家具や三
井物産も配当性向のよい会社になっていました(残念ながら当社は昨年度は無
配でした)。

 5%を前提とすると、1億円の投資で年間500万円です。暮らしていけそ
うですが、全額とも株式投資というわけにはいきませんから、2億円は余剰資
金を持っていないと無理のようです。私は、ここで脱落です。

 もっとも、昔から退職金を銀行金利よりもよいという理由で東電株を取得す
る人が多かったのですが、当然ながら、いまは無配です。あの日を境に暴落し
ましたので、元本も大きく目減りしました。

 やはり庶民が資産を残すには使わないのが一番かもしれませんね。極貧生活
を優雅に送る方法でも研究しましょうか。おじいさんは山に柴刈りに行き、お
ばあさんは川に洗濯に行けば、金の卵の桃でも流れてくるかもしれません。


2016.03.25(金)【免責登記の登記記載例】(金子登志雄)

 あの乙武君が5人の女性と浮気とは……。元東京都教育委員ですから、免責
されませんね。といいながら、何ともうらやましいこと。これで私のような持
てない男の反感を買ったから参議員選挙には出ない方がよいでしょう。

 さて、免責といえば、会社分割等で免責の登記をしたいというニーズがあり
ます。私もこれまで、3、4度経験しています。

 つい、最近、商業登記倶楽部の過去の実務相談室で知ったのですが、新設分
割の際も免責の登記が可能かという照会に対して、下記のような東京法務局回
答があるようです。

----------------------------------------------------------------------
〔回答〕
 登記が可能である点はご照会のとおりですが、記載例は以下のとおりとなり
ます。また、登記申請に当たり添付書面は従来と変更がないことを申し添えま
す(会社法第22条第1項の類推適用がされ得る等についての疎明資料等の添
付は不要です)。

記載例
「商号譲渡人の債務に関する免責」
 当会社は平成○年○月○日事業の譲渡を受けたが、譲渡会社である○○会社
の債務についてはその責めに応じない。

 なお、登記するに当たり、当該事業譲渡が売買、現物出資、会社分割のいず
れかに基づくものであるか、また会社法第22条第1項の適用又は類推適用が
されるべきものと考えられる事情(屋号の使用継続等)については要しないも
のとされましたので、ご了承ください。
----------------------------------------------------------------------

 極めて真っ当な内容ですが、登記所によっては、この記載例どおりでないと
登記を受理しないと応えるところもあるようです。

 しかし、それだったら「責に任じない」という従来型の表現も不可なのか、
「会社分割により事業の譲渡を受けたら」と理由を挿入したら不可なのかとい
うことになります。会社分割と書いてないからという理由で会社分割の債権者
から債務を請求されたとき、どう対応すればよいのでしょうか。

 東京法務局には他の地域の法務局を従わせる権限まではないわけですから、
文字どおり記載「例」の1つであって、他の表現を認めないという意味はない
でしょう。現に、上記の記載例以外の実例は全国に多数あります。


2016.03.24(木)【法人社員】(金子登志雄)

 合名会社・合資会社・合同会社を総称して「持分会社」といいますが、持分
会社について文章を書くのは意外に難しいことに気づきました。

 合名会社の社員は個人としても債権者に無限の責任を負う………法人も社員
になれるのだから、個人的責任という表現でよいのか?

 合名会社が合併存続会社となり持分を発行すると………株式ならともかく持
分についても発行というのかと突っ込まれました。

 そもそも持分会社の構成員を「社員」と書くと、一般の方は「社員=従業員」
という感覚なので、話が通じません。社員になることを「入社」(登記の面で
は「加入」といいますが、まるで途中入社の社員のようです。

 また、株式を相続することができることはどなたも疑いませんが、持分(社
員の地位)は原則として相続することができません。死亡は退社事由です。

 え?なぜ?その財産は誰のものになるの?………という当然の疑問が生じま
すが、財産権である払戻請求権は株式と同様に相続することができるが、社員
の地位(主として経営参加権)は相続することができないという意味です。

 株式(株主たる地位)は相続することができますから、議決権は財産権なん
でしょうか、経営参加権だが、業務執行権を含んでいないというだけでしょう
か。深く考えると不明点が多く、勉強にはなります。


2016.03.23(水)【本欄の回答2点】(金子登志雄)

 17日の本欄に「会社代表者として届出印の印鑑証明書を添付すれば、資格
証明書は不要ではないか。不動産ではどうなっているのか」という疑問につい
て、司法書士仲間から回答がありました。

 特別清算の開始の命令がなされた株式会社にあっては、清算人の代表権が制
限されることがあるのに印鑑証明書ではその事実が判明しないなどの理由で、
不動産登記においては、印鑑証明書をもって資格証明書に代用できないという
ことのようです(登記研究713号カウンター相談)。

 しかし、上記は不動産登記での回答であること、清算人の代表権であること
から、商業登記では、代用できる余地は十分にありそうですね。

 次に、18日の本欄の「辞任」の登記が正しくは「解任」だとした場合に、
更正登記が可能でしょうと記載したことに対して、本欄閲覧の友人の司法書士
から、「確か、昭和20年代の判例に、退任の事実には変わりなく、登記を求
める利益がないから、辞任を解任とする更正登記は受理されないというのがあ
ったような………」というメールをいただきました。

 ネットで調べましたら、下記がみつかりました。イの部分です。
 
 http://www.geocities.jp/twypw828/kmssH18pm28s.htm

 判例は抹消不可の内容で、更正不可までは判示していないようです。確かに
紛らわしい判例ですね。受験生はお気を付けください。


2016.03.22(火)【ぼた餅とおはぎ】(金子登志雄)

 お彼岸3連休でした。ゆっくり休めましたか。だいぶ暖かくなり、春眠暁を
覚えずだった方も多いことでしょう。

 さて、お彼岸というと、ぼた餅又はおはぎですが、これまでずっと、粒あん
のぼたぼたした大きいものがぼた餅で、こしあんの小さな品のよいものがおは
ぎだと思っていましたが、ネットによると違う説のほうが多いようです。

 小豆を秋に収穫して、皮も柔らかいから、そのまま粒あんにした秋の「萩」
の時期のものがおはぎで、春まで小豆を保存すると皮が固くなるため皮をとっ
たこしあんが春の「牡丹」の時期のぼた餅だと、もっともらしく説明している
ものもありました。

 まさかと思って、いろいろネット検索しましたら諸説あり、私の見解も間違
いではないようです。粒アンかこしあんか関係なく、春のものがぼた餅で、秋
のものがおはぎというだけで、カレーライスとライスカレーの相違程度のもの
のようです。

 株式投資用語には「節分天井、彼岸底」というものがあります。おめでたい
新春相場で節分までは上がるが、そこから下がり始めてお彼岸の時期に底を打
つという格言ですが、単なる経験則に過ぎません。

 司法書士業務は3月末を控え「節分底に、彼岸天井」になるのか、寝る暇も
ないとメールをくれた友人の司法書士もいましたが、3月は不動産登記の駆け
込みが多いのでしょうか。

 商業登記中心の当事務所は、ぼた餅とおはぎの相違を調べるくらい時間的余
裕があり「節分底、彼岸底、本日も平穏なり」です。これが一番ですね。


2016.03.18(金)【登記申請の利益】(金子登志雄)

 訴訟の場合は訴えの利益がなければ、審理に入らず訴訟は却下されます。登
記にも、これがありそうです。登記事項でないもの(決算期など)を申請して
も、即却下です。

 では、取締役/金子登志男/平成27年12月26日辞任

と登記されているとき、登志「男」ではなく、登志「雄」だから、更正登記を
したいと申請した場合はどうなるでしょうか。

 確認しましたところ、更正登記は現に効力があるものを正しく直す登記だか
ら、効力が終了済みのものは更正登記の対象にならないそうです。「高」橋で
はなく「髙」橋に更正したいというのも不可でしょう。

 理由はよく分かりませんが、効力がないものを更正する利益がないというの
ではないかと想像しています。

 上記が「辞任」ではなく「解任」だというのなら、辞任の登記として効力が
あるので更正することができるでしょう。氏名や住所は、その人を特定する要
素であって、効力事項とはいえません。

 30年以上もこの仕事に関わりながら、いまだに新発見がありますので、登
記もなかなか深いところがあります。

 ところで、月曜日は休みなんですってね。昨日、当社の社員に聞かされ、思
わず「え?」と声を上げてしまいました。自由業はいつでも勝手に休めるので、
曜日の感覚も祝日の感覚もおかしくなります。

 雇われていた頃は、次の休みの日は、まだかまだかと待っていたものですが、
こうも変わるものかと不思議な感覚でした。3連休、本欄のネタでも考えてお
きます。ネタ不足だと言いながら、もう9年も1日も休まず書いています。我
ながら、ようやりますね。


2016.03.17(木)【免責の登記の添付書面】(金子登志雄)

 昨日は、会社分割に伴う「商号譲渡人の債務に関する免責の登記」で考えて
しまいました。

 例えば、東京のA社が新設分割により横浜でA社を設立したとします。この
場合でもB社で免責の登記ができる旨の文献は多数あり、問題ないのですが、
添付書面について触れてある文献は少ないようです。

 今回のケースは新設分割登記の完了後に免責の登記をすることになったもの
ですが、登記所の管轄が違うから、A社の承諾書が必要で、そこにはA社の代
表印を押し印鑑証明書をつけ、かつ資格証明書用にA社の登記事項証明書等を
添付する必要があると記憶していました。

 ところが、私の連絡ミスだったのか依頼者から送付されてきたのは、B社の
登記事項証明書でした。

 なぜ、私がA社の登記事項証明書を準備しようとしたかというと、新設され
た商業登記法19条の3には、「この法律の規定により登記の申請書に添付し
なければならないとされている登記事項証明書は、申請書に会社法人等番号を
記載した場合その他の法務省令で定める場合には、添付することを要しない」
とあっても、本件の承諾書に必要な登記事項証明書は「この法律の規定により
登記の申請書に添付しなければならないとされている登記事項証明書かどうか
という疑問があったからです。

 しかし、商業登記法には明文規定がないとはいえ、商業登記法が要請してい
ないなら、添付する必要もないはずだと考え直し、会社法人番号記載で申請し
てみました。

 補正通知があるかなと思いながら、その後、ふと、印鑑証明書で会社の存在
も代表権の存在も明らかなのに、なぜ資格証明書が必要なのかという新たな疑
問が出てきました。共同代表は今は登記できませんから、共同代表でない証明
は不要です。テイハンの書式精義では、登記事項証明書が添付書面ではない雰
囲気です(添付書面欄に記載がありませんでした)。

 当たり前のように記憶していたことも、いざとなると、さまざま疑問が出て
くるのが実務だとはいえ、いまさらながら、本当に資格証明書の添付は必要な
のかという疑問が出てしまいました。不要のように思いますが、司法書士各位
は、いかがですか。不動産登記の場合は、いかがですか。


2016.03.16(水)【定款に対する認識差】(金子登志雄)

 昨日は、はじめて某県の公証人役場で定款認証を経験しました。

 登記所にもローカルルールがありますが、公証人役場のほうが、もっと地域
差が大きいですね。

 東京と横浜は、定款認証の委任状と定款案との間に契印がなくとも認証に支
障がありません(少なくとも私が行きつけの公証人役場では)。

 また、大手登記所と同じく、小さいことにこだわりません。例えば、定款の
附則に「当会社の最初の代表取締役は、○県○市○町○丁目○番○号〇〇○と
する」としても、何の問題もなく認証してもらえますが、地方に行くと、ここ
は「設立時代表取締役」にせよなどと言われます。

 東京で、こんなことをいわれましたら、「ああ、そうですか。では、別の公
証人役場を探します」と対抗することができるのですが、地方に行くと、そこ
しか近所の公証人役場がありませんから、「まぁ、このくらいは妥協するか」
と対応するしかありません。こんなところに、力関係の差が生じます。

 また、いつも思うのですが、司法書士や登記所は、定款なんていつでも変更
できる対象として、重きを置きませんが、公証人は、定款は会社の憲法であり、
特別に重大なものという意識の差があるようです。

 この点は、理念としては公証人役場が正しいのですが、世の中の実態は、定
款とは登記に必要なもので司法書士や行政書士が作成するものという意識でし
ょうか。株主数が多数にならないと、「定款=根本規則」という実感が出てこ
ないものです。

 ところで、電子署名が円滑に行かずに困っていませんか。下記のお知らせの
3月9日のところをみてください。私のパソコン顧問のリーガルさんに教えて
もらい、助かりました。

  http://www.touki-kyoutaku-net.moj.go.jp/


2016.03.15(火)【業務スタイル】(金子登志雄)

 先日、地方都市で活躍している司法書士さんから、都会の商業登記事務は総
務部等との電話やメールのやり取りが多いので、うらやましい。地方都市では、
面談が多いので効率が悪いといわれました。

 確かに、そうかもしれませんね。都会の開業である私は1週間のうちで顧客
にお会いするのは、数日程度で、あとの全部が電話かメールです。ですから、
事務所に行くのは、送付された議事録など登記申請書類を取りに行くためのよ
うなものです。

 他の都会のベテラン司法書士も、自分が顧客先に出かけたら、時間配分の点
で効率が悪いので、できるだけ来てもらっているといっていました。より多く
の顧客と面談するためだそうです。

 若いうちはフットワークのよさを売り物にするのもよいでしょうが、効率の
点では、「先生」は動かない方がよいでしょう。

 信託銀行の新人のとき、銀行のテラーに配属になりました。お客様を待たせ
るのは申し訳ないと思い、事務方にまだか、まだかとせかせました。

 上司から呼ばれました。「金子なぁ、銀行というのは待たされるところだと
お客様に思ってもらうようにするのも君の仕事だろう」と叱られました。

 それ以来、「30分程度お待たせするかもしれませんので、買い物でもあり
ましたら、先に済ませてください」とお客様を外に出すよう心がけました。

 私は、この上司の教えを今も守っています。「金子に用事があれば携帯がよ
い。朝でも深夜でもかまわない。いつでも即答してくれる。その代わり、午前
中に面会を申し込むな。まだ事務所に来ていないことが多い」と、長年かけて
お客様に認識してもらうようにしてきました。

 おかげさまで、いまでは、固定電話にかけてくるお客様はほとんどなく、午
前中に会いたいという電話も、めっきり少なくなりました。午前中は、前日深
夜から続く議事録作成や執筆などの時間です。


2016.03.14(月)【確定申告時期に思う】(金子登志雄)

 司法書士ほか自営業の皆さん、確定申告はお済みですか。明日までです。

 当事務所の経理事務については私の身内に任せており、とっくに済んでいま
すが、ありがたいことに(?)、今回は、税金がぐっと安くなりました。

 そうなんです。昨年は、残念ながら、減収、減益でした(減収とは売上げの
ことで、減益は利益のことです)。ここ10年ほど、ボックス相場が続いてお
り、成長も衰退もありません。当事務所の高度成長期は旧商法時代に終わり、
会社法以降は安定期が続いています。

 ボックス相場というのは投資用語で、一定の高値と安値の間を波打っている
状態のことですが、たまたま、一昨年が高値圏、昨年が安値圏だったというだ
けでした。大口の組織再編の仕事が多いか少ないかよって、当事務所の収入も
上下します。著作の印税などは、大勢に影響がありません。

 安値圏でも、まだ、ボックスの底を突き破っていませんし、個人事業ですか
ら、これで十分ですが、大手事務所や企業の場合は成長が止まって将来性がな
いと判断されてしまうことでしょう。

 従業員に対して年功序列で賃金を上げて行くなど成長が宿命づけられている
大手事務所や企業の経営者の心労は、われわれ個人事務所の比ではないと思い
ます。

 アベノミクスで大企業はだいぶ内部留保を貯めこんだようですが、それは庶
民の財産が企業に移転しただけで、各種の統計では、庶民の生活はますます厳
しさを増しているようです。

 格差社会を進展させる政策が小泉政権時代から進んでいますが、このような
中で大手事務所や企業の経営者は、生き残りをかけて「よい人」でい続けるこ
とができないわけですから、1人事務所の当事務所は気楽です。ずっと「よい
人」でいられます。「経営者=幸せ」とは決していえないので、今後も1人事
務所でいようと思っています。


2016.03.11(金)【あれから5年】(金子登志雄)

 あれから5年ですね。携帯電話が全く通じず、会社に寝泊まりして翌朝帰っ
たことをよく覚えています。

 忘れやすい日本国民、いや亡国の日本マスコミは、あの日のことよりも、清
原問題やベッキーや政治家さんの不倫のほうに関心が向いているようで情けな
い限りです。

 煙もでていないのに小澤問題のときは小澤氏をしつこく犯罪者扱いして追及
し民主党政権をつぶした検察やマスコミも、もうもうと煙が出ている甘利問題
はスルーしています。実に分かりやすい単純明快な権力構造ですが、日本はま
だまだ民主国家・文化国家への成熟度がこんなものだということでしょう。

 アンダーコントロールと堂々と世界に発信した総理、あの事故は管さんを首
相にしたから天罰が当たったとほざいた班目(まだらめ)元原子力安全委員長
といい………、誰も責任を取らない日本社会の仕組み………。

 http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00318311.html

 日本人はもっともっと怒るべきであり執念深くならねばならないと思ってい
ますが、残念ながら、私はこの点においては少数派のようです。

 わが愛する日本国はどうなるのかと心配の種は尽きませんが、こういう問題
をここで取り上げることに疲れてしまいました。これではいけないと思うので
すが、今回はこの程度にしておきましょう。


2016.03.10(木)【保育園落ちた】(金子登志雄)

 「保育園落ちた。何が一億総活躍社会だ」という趣旨の匿名ブログがじわじ
わと広まっているようです。

   http://tanakaryusaku.jp/2016/03/00013170

 本欄を閲覧している方々の中にも、他人ごととは思えない方も少なくないで
しょう。

 老人の私にとっては、他人ごとですが、私も若い頃は、毎朝、子供を無認可
保育園へ送っていましたので(もちろん公立を落とされたため)、ブログ主の
気持ちはよく分かります。

 夫婦の収入が多いから公立に入れなかった………とんでもございません。妻
はともかく、私は当時から我儘勝手のフリーターのような存在でした。

 保育園からは何度も微熱があるから子供を引き取れなどという電話をもらっ
たものでした。行ってみれば、37度台でも、保育園からすれば、危険物は預
かれないということだったのでしょう。

 ところで、私も当時まで知らなかったのですが、幼稚園は文科省管轄だが、
保育園は厚労省管轄です。ご存知でしたか。保育園は保育に欠ける幼児を扱う
ところです。

 「保育に欠ける」といっても、いまの小学1年生の多数が保育園育ちだと聞
いています。それだけ女性が活躍する時代になったのでしょう。小学生になれ
ば「学童保育」という制度があります。

 安倍自民党もアベノミクスの失敗が常識になっただけでなく、女性を敵に回
してしまっては選挙に困るはずなのに、権力に弱い大手マスコミが強い味方で
いてくれるためか、いまだ高支持率をキープしているようです。


2016.03.09(水)【株式交換の割当事項】(金子登志雄)

 最近、株式交換の質問が増えたように思っていますが、吸収合併と株式交換
との相違点に関しては、十分に認識されていないようです。

 最大の相違点は、会社が解散するかどうかです。

 その結果、株式等の対価の割当事項には次のような差が生じます。
----------------------------------------------------------------------
吸収合併:吸収合併消滅株式会社の株主(吸収合併消滅株式会社及び吸収合併
 存続株式会社を除く。)又は吸収合併消滅持分会社の社員(吸収合併存続株
 式会社を除く。)に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
株式交換:株式交換完全子会社の株主(株式交換完全親株式会社を除く。)に
 対する同号の金銭等の割当てに関する事項
----------------------------------------------------------------------

 会社法749条1項3号と768条1項3号との比較ですが、かっこ内を比
較すると、相手会社の自己株式に割り当てられるかどうかの差が読み取れます。

 吸収合併では相手が消滅し、相手の自己株式も消えてしまうので何も割り当
ててはならないが、株式交換では割当対象であり、完全子会社は完全親会社の
株式を保有することになります。子会社が親会社の株式を保有する関係です。

 相手の保有する新株予約権に対しては、次のようになっています。
----------------------------------------------------------------------
吸収合併:吸収合併消滅株式会社の新株予約権の新株予約権者に対する同号の
 吸収合併存続株式会社の新株予約権又は金銭の割当てに関する事項
株式交換:株式交換契約新株予約権の新株予約権者に対する同号の株式交換完
 全親株式会社の新株予約権の割当てに関する事項
----------------------------------------------------------------------

 会社法749条1項5号と768条1項5号との対比ですが、会社が消えて
なくなる合併では、新株予約権者に金銭の補てんが可能ですが、完全子会社と
して存続し続ける株式交換では、新株予約権を承継するかしないかだけであっ
て、金銭交付を認めていません。新株予約権を消滅させたければ、完全子会社
で勝手にやればよいことで、そこまでは完全親会社に口出しさせないようにな
っています。
http://www.esg-hp.com/

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