<石油噴出>新潟の住宅で大量の泥水とともに、処理に困惑
毎日新聞 8月16日(金)18時12分配信



自宅の床下からあふれ出す石油を含む泥水の処理に追われる男性=新潟市で2013年8月15日、柳沢亮撮影
 新潟市秋葉区の住宅の敷地から、石油を含んだ大量の泥水が噴出し、住民たちを困惑させている。住民らは周辺の住宅地に流出しないよう、毎日、自力で処理しているが、民有地のため行政の支援はほとんど受けられず、約17時間おきにあふれ出す300リットルもの泥水の処理に明け暮れ、「涙も枯れる」と嘆いている。【柳沢亮】

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 同区滝谷町に住む60代男性の家屋の床下から、石油を含む泥水が最初に噴き出したのは4月27日午後11時ごろ。就寝直前に「シューシュー」という音に気付き、水道やガス栓を見て回ったところ、床下からドロッとした黒っぽい液体が音を立てて噴き上がっていたという。

 一帯はかつて「石油の里」として多くの油田が掘られ、産油量日本一を誇った地域だけに、掘削跡の不始末が原因とみられる。

 男性は消防に通報。消防は土のうを積んで下水に流れないように応急処置を施したが、その後も噴出がやむことはなかった。隣の空き地からも湧き出し始め、その範囲は徐々に広がったという。

 このため、男性は自宅脇に大きな穴を掘り、石油の混ざる泥水を一度ためて石油と水に分離させ、吸着シートで石油を吸い取る作業を続けている。石油は不純物が多く含まれ、売ったり利用したりすることはできず、石油を入れるポリタンクや吸着シートの購入費などで、これまでに約80万円かかったという。男性は「石油はあふれているが、処理が大変で涙は枯れているよ。体力も限界。いつ、どこで自噴してもおかしくないのだから、手助けが欲しい」と話した。

 こうした事態に、当初、吸着シートなどを提供した同区は「昔の掘削跡なので自然災害とは考えにくい。民有地なので、現在は基本的に対応していないが、何らかの対応を取りたい」としている。
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