<参院改革>議長案、難航必至 「個人」の扱いなど課題
毎日新聞 12月23日(木)13時13分配信


西岡武夫参院議長=国会内で2010年7月30日、藤井太郎撮影
 西岡武夫参院議長が22日、参院の選挙制度を比例9ブロックに再編する改革案を示し、今後「1票の格差」を巡る与野党協議が本格化する。ただ、個人の立候補が難しくなる点や、2大政党を目指す衆院とのバランスも課題だ。各会派で作る選挙制度改革検討会は、来年の通常国会での公職選挙法改正で一致したが、取りまとめは難航しそうだ。【高山祐、岡崎大輔】

【西岡議長の案】参院:選挙制度 西岡議長が比例9ブロックの再編案提示

 改革案は、参院比例代表が採用する非拘束名簿方式で全員を選出するのが基本。各ブロックに議員12~44人を配分し3年ごとに半数を改選する。重視したのは「違憲状態」との司法判断が出た1票の格差の改善だ。改革案では1.16倍以下となり問題はほぼ解消する。西岡氏は、政府の地方制度調査会が06年に示した全国を9~13の道州に再編する構想を参考に「経済圏や文化の要素があり、あまり分断しない方がいい」と9分割案を採用した。

 各党の損得勘定が絡む問題で具体案の提示に踏み切ったのは、このまま13年の次期参院選を迎えれば「選挙無効」判決が出るとの危機感からだ。ただ、菅直人首相が取りまとめを「年内」と口にした議員定数の削減は見送っており、民主党の輿石東参院議員会長は「国民にうそをついたことになる」と異論を唱えた。同党は全国比例で労組の組織内候補を多く当選させてきた経緯があり、ブロック制への全面移行案では党内調整が難航しそうだ。

 現行比例は名簿届け出政党への所属が立候補の前提。西岡氏は無所属の個人も立候補できる制度を検討しているが、具体案はこれから。また改革案では、一人も議員が選出されない県が出る可能性もあるほか、小選挙区を基本とする衆院との整合性も課題だ。民主党の岡田克也幹事長は「一種の比例制度で小党分立になる。衆院との調整をどうするかも問題だ」と指摘した。

 野党の見解は分かれた。自民党の中曽根弘文参院議員会長は、衆院の比例ブロック数(11)と異なる点を挙げ「同日選となれば非常に混乱する」。社民党の福島瑞穂党首は「全国比例がなくなるのは問題だ」と批判した。

 一方、比例重視の公明党の山口那津男代表は「方向は誤っていない」と語り、新党改革の舛添要一代表は「道州制を前提に進めるなら第一歩として評価する」とした。共産党の穀田恵二国対委員長は「民意を正確に反映する比例代表を守るべきだ」と評価を避けた。

 菅首相は記者団に「1票の格差是正は避けられない課題だ。各党の議論を期待したい」と述べた。

年金国庫負担 消費増税見込む 12年度以降、埋蔵金枯渇
毎日新聞 12月23日(木)12時45分配信


拡大写真
基礎年金財源実績と政府が描くイメージ
 政府は22日、基礎年金の国庫負担割合を50%で維持するのに必要な2.5兆円の財源に、11年度は独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の利益剰余金などを充てることを決めた。12年度以降は「消費税を含む税制の抜本改革」で賄うことも確認した。来年の通常国会に提出予定の国民年金法改正案に盛り込むが、成立すれば12年度以降、「埋蔵金」の活用は法的にできなくなる。退路を断ち、消費税増税実現に強い決意を示した格好だ。

【宙に浮いた年金】記録の持ち主調査の現状は?

 野田佳彦財務相と細川律夫厚生労働相、玄葉光一郎国家戦略担当相(民主党政調会長兼務)が同日協議し、(1)11年度は鉄建機構の剰余金(1.2兆円)、財政投融資特別会計の積立金と剰余金(1.1兆円)、外国為替資金特別会計の剰余金(0.2兆円)で賄う(2)12年度以降は税制の抜本改革によって財源を確保する--ことで合意した。

 野田氏は閣僚協議後の記者会見で「(税制の抜本改革は)12年度実施に間に合わせる」と述べ、12年度からの増税実現に強い意欲を示した。とはいえ、政府内では実際に税率をアップする時期は13年度以降との見方が強い。財務、厚労両省は、11年度中に13年度からの消費増税を決めたうえで、12年度はつなぎの赤字国債を発行して基礎年金財源とする筋書きを描いている。

 背景には、埋蔵金が底をつき、12年度は頼れないという事情がある。「11年半ばまでに税と社会保障の一体改革の具体案をまとめる」との政府・与党方針に沿ったもので、政府は与野党協議の場で将来の社会保障像を示し、消費増税への国民の理解を得たい考え。しかし、「11年度中の増税決定」という大前提には、実現性を疑問視する声も強い。

 焦点は与野党で隔たりの大きい年金制度改革だ。民主党は09年衆院選のマニフェスト(政権公約)で消費税を財源とした「月額7万円の最低保障年金の創設」を掲げ、13年度中に関連法案を成立させるとしている。

 だが、自公政権時代の社会保障国民会議が08年11月に示した試算によると、民主党案に沿って基礎年金部分を全額税で手当てした場合、25年度には消費税率換算で3.5~8.0%程度を要する。ねじれ国会の下、大幅増税を実現したうえで、民主党の年金改革案を実現するにはハードルが高い。所要財源を減らすため、給付に所得制限を入れた場合は、中堅所得層を中心に給付額が減る。

 政府が6月に公表した「年金改革の7原則」では、野党側を協議に引き込む狙いで「最低保障年金」や「消費税」は明記しなかった。それでも年金制度に関する与野党間協議が動き出す気配はない。【鈴木直、植田憲尚】

ネット犯罪対策強化、ウイルス作成罪創設へ
読売新聞 12月23日(木)3時10分配信

 法務省は22日、政府機関や企業の情報漏えいやサイバー攻撃などが相次ぐ中、インターネット犯罪対策を強化するため、「コンピューターウイルス作成罪」の創設を柱とした刑法等改正案を、来年の通常国会に提出する方針を固めた。

 政府が2001年に署名した「サイバー犯罪条約」の批准に向けた国内法整備の一環で、ネット犯罪の国際化への対応を急ぐ。

 現在、ウイルスの作成・所持を直接罰する法律はない。08年にウイルスをネット上に流出させたとして国内で初めて逮捕されたウイルス作成者は、著作権法違反罪で有罪判決を受けた。 ウイルス作成罪の創設は、04年と05年に国会に提出された刑法等改正案にも入っていたが、同案に併せて盛り込まれた、犯罪計画の謀議に加わっただけで罪となる「共謀罪」への反発が強く、いずれも廃案となった。
一色保安官「後悔していない」 自宅で話す
産経新聞 12月22日(水)23時53分配信

 一色正春・元海上保安官は22日夜、神戸市の自宅で産経新聞の取材に応じ「今回のことは後悔していない。処分の内容を聞いたときは当然だと思った」と話した。停職12カ月の懲戒処分については「処分をもらったばかりだが、内容を聞いたときには当然だと思った」という。

 また、22日付で辞職願が受理されて依願退職となったことに対し「今後は仕事を探さなければならない。官舎を出て家も探す必要もあり、どういった方面の仕事をするか見当もつかない」などと淡々と語った。

 一色元保安官はこれまで「政治的主張や私利私欲に基づくものではない」とコメントしていたが、この日も「気持ちは変わっていない」。ただ詳しい理由は「簡単に説明できることではない」とも語った。