「65歳定年」意見提出先送り=国家公務員、制度設計が難航-人事院
 人事院は11日、年内をめどに国会と内閣に行う予定だった国家公務員の定年延長に関する意見提出を、先送りする方針を固めた。年金給付開始年齢の引き上げに合わせ、現在は60歳の定年を段階的に65歳まで延長するための制度設計を進めてきたが、60歳前後の給与水準や人事管理などをめぐり細部を詰められなかった。
 人事院は今後、来夏の給与改定勧告に合わせて意見提出する方向。ただ、民主党政権が現在、人事院勧告を廃止して勤務条件を労使交渉で決めることを柱とする公務員制度改革を検討中のため、見通しは不透明だ。
 公務員の定年延長は、年金の支給開始年齢が2013年度から段階的に引き上げられ、25年度に65歳となることに対応した措置。無収入期間が生まれないよう、08年6月成立の国家公務員制度改革基本法で、定年延長を検討することが規定された。
 このため、人事院は、具体的な制度設計を進め、関連法の改正などを国会と内閣に求める意見提出を、年内をめどに行う方針を掲げていた。
 検討が難航したのは、主に60歳前後の給与体系や、一定年齢に達すると本来の定年前に役職を外れる役職定年制を導入した際の幹部職員の処遇など。各府省庁内では天下り禁止に伴う人事の滞留傾向も強く、総人件費を抑制した上での定年延長後の組織の在り方が描けなかった。
時事通信配信