『SUSTAIN THE UNTRUTH』歌詞解釈 | 空白の瞬間

『SUSTAIN THE UNTRUTH』歌詞解釈

TOUR19 This Way to Self-Destructionのファイナル新木場にてWアンコで披露され
無観客ライブでもセトリに組まれた曲だったので改めて考察してみました。
インタビューでは「ストレート」と解説されていただけあって文字数が少ない曲。
個人的には歌い出しがどこ歌ってるのかなぞるのに苦戦した曲です(笑)。

タイトルの意味は「真実ではないことの継続」

何が真実で、真実ではないとはどういう状況なのか継続するとどうなるのか。

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歪な君
The Inside Mind
歪な真っ赤な美
まだ塗り潰せる

そう...まだ

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The Inside Mind=心の中
歪(いびつ)=正常ではなくゆがんでいる

心が歪む状態は怒り憎しみ絶望などとてもストレスが高そうですが
逆にその昂った状態が美しいという価値観。
京くんの表現力に惹かれる者なら説明不要で納得出来るでしょうか。
赤=感情の爆発をイメージしました。
もっと剥き出しになって熱くなれるだろうと更に煽っている感じ。

「君」を客観視している書き方なので
歪な状態のファンを京くんが見てる感じなのかな。


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行き着いた 優しい声に 導かれ彷徨って
パレードに朽ち木と燃える

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パレードは賑やかで華やかな大勢の人の前進。
多くの人が前向きに楽しく明るく生きている様子の比喩かなと。
それについていけなくて、歪になって赤く燃えている。

MVで高層ビルや大空が映るのはそういった大衆をイメージしてるのかなと思いました。


「優しい声」は希望を提示するような言葉を想像します。
明日はいいことあるとか、ずっと好きとか。
そんな外の声に導かれた結果、行先が分からず彷徨っていると。


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右と左がまだ残っているから
風貌問わず 愛してやれ

右手に愛情?
左手は何?

アタシキレイ

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前に進めない、後ろに戻るのも悔しい。
ならばまだ右と左が残ってると考えるのはどうだろう。
絶望するにはまだ早い。
格好悪いとか人にどう思われるとか一旦置いといて自分を愛してやれ。
アタシキレイ=赤く燃える心が美しいと気付く。

左手にあるものはアタシキレイと自信を持つために必要なものなのかな。
私は「肯定」「期待」「意欲」などを思い浮かべましたが
その答えは実は曲名の「SUSTAIN THE UNTRUTH」なのではと思います。


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Image
夕日が待つゆらゆら揺れる閉じ込められた心
俺はまだ 明日に

乱れし時淡く
淫らなお前の噓

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ここまでは君に向けての話だったのが、最後で京くん自身の話に。
他人事じゃなく、同じ心境にあるからこそ「君」に向けたわけで
歪で形が定まらずゆらゆら揺れる不安定な心。
閉鎖的で同様にパレードにはついてゆけないんですね。
なのにまだ明日に希望を見出そうとしている。

その理由は"真実ではないもの"が目の前にあるから。
前述の「優しい声」に裏切られ続けてきたから嘘だと分かっているのに
継続されればいつか嘘じゃなくなるような淡い希望を感じます。
それを淫らと形容しているのは誘惑の象徴なのかな。

私が思うにこの曲は葛藤の中にポジティブな想いが含まれていて
勇気を出そうとする渾身の一歩が描かれた曲のように思います。
日記と称する歌詩に込められる言葉は嘆かわしいものが多く
実際にファンに向けられる言葉は温かく優しいものが多い京くんですが
「どうせすぐいなくなるんでしょ」とファンへのコメントを投げていたこともあり
信じられない想いと信じたい想いがせめぎ合う胸中を描いた曲かなと。
「死ねない」をテーマにした絶望感漂うツアーの締め曲として異色の穏やかさだと思います。


『audience KILLER LooP』の歌詩にも
「目の前は深いお前らの渦と嘘の箱庭」と類似した表現がありますね。
タイトルはオーディエンス(客)に殺され続けるという意味で
「トラウマを詩にした」と語られています。
ただ「いつかは解りあえるのか?」と期待するフレーズもあり
完全否定ではない様子が伺えます。

庭と言えば『CLEVER SLEAZOID』でも
「Welcome to the garden of destruction」(破滅の庭へようこそ)とあり
トラウマと言うだけあって延々と繰り返されているテーマなんだと思います。

 

そして『VINUSHKA』の名台詞「此処が真実だ」にとても強く繋がっていると思いました。

あの曲で意味する真実は「絶望的で救いのない世界」と解釈しています。

反するこの『SUSTAIN THE UNTRUTH』は絶望を否定しているのです。

希望はまだある、救われる筈だ、その前向きな明るさが続けと

そういうメッセージが込められた曲だと感じています。