今、世間をにぎわせている運動があります。


【アイスバケツリレー】


ALS、筋萎縮性側索硬化症 という病気を
知って欲しい、きっかけにしてほしい、支援してほしい
そんな意味を含んだもので



・氷水をかぶる

or

・100ドル寄付する

or

・氷水をかぶり、100ドル寄付する


そして、その後知り合い3人を指名する






というものです。

賛否両論あるこの運動ですが。


ALSって、ずっとずっと難病指定されている病気です。
自分はたまたま医学の勉強をしてきましたし
実際、ALSの患者様と接したこともあります。

ご家族はとても大変なのはもちろんですが
ご本人が、なにより大変なのです。


この病気の特徴は、運動神経が徐々に衰えること。
思考は、はっきり残っています。
でも、徐々に身体が動かなくなります。
でも、頭で考え、悩むことはできます。
最終的に、呼吸筋が衰え、ここでひとつターニングポイント。

『人口呼吸器を装着するかどうか』

人工呼吸器を装着しなければ、死にます。
装着すれば、数年は長く生きられますが
家族の抱える負担は大きくなります。


生きたい。  死にたい。



この選択を、患者様ご本人ができてしまうんです。


そして、私は一生忘れない言葉。



「死にたくても、自分で死ねないんだよね」




首を掻き切ることも
舌を噛み切ることも
飛び降りることも

自分の意志では動かない身体では、かなわない。




そんな言葉を言われて、私は何も言えませんでした。
代わってあげたいなんて、言えません。
その気持ちわかる、とも言えません。
死なないで、と、軽々しく言えません。




自分は、医療従事者でした。

いろんな病気の勉強をしました。
そして、いろんな病気の患者様と接しました。



だから、今回のこの運動を

「パフォーマンスすることに意義がある」


っていう風に、してほしくないのです。

国指定難病は、ALSだけじゃありません。
だから、今回のことで
いろんな病気とか老いとかに興味を持ってほしいです。


著名人がやればやるほど、一世を風靡して
知名度が上がって、すごくいいことだと思うんですけど。





やる勇気。

やらない勇気。

つなげる勇気。

止める勇気。




どれも、真剣に考えて出した答えを
否定することはしないでほしい、と思います。