今日は視察団の中日、瀋陽から天津への移動日でした。
視察団と併せて年に10回以上は中国へ渡航し、
北から南へ各都市を飛び回っています。
もちろん単なる観光のためではありません。
訪問先の見聞をブログで取り上げたり、
訪問企業の様子を『中国企業情報』で
発信したりするための素材集めのためです。
常に最新情報をと心がけていますが、
それでも変化に追いつかないことがあります。
最近流行りの「共享経済」のほか、
「網紅経済」もその中の一つです。
「共享経済」は「シェアリングエコノミー」のこと。
日本ではカーシェアリング、シェアハウスなど
という事例はありますが、前回のブログで触れた
アプリでシェフを呼んで料理してもらうのも
シェフという希少価値のあるサービスをみんなで
共有しようという発想からです。
このほか、タクシー以外に「専車」という
アプリも開発され、自家用車を
タクシーの代わりにサービスを提供するものです。
最近にわか注目されているのは
後者の「網紅経済」です。
ネットアイドルエコノミーのこと、である。
ネットアイドルとは、文字通り、
ネットで人気のあるアイドルのことですが、
しかし必ずしもAKBのような
アイドルグループである必要はありません。
自媒体を持つ経済学者や特別な技能を持つ人でも、
ユーザーを囲い込むことができれば
誰でも「網紅」になれるのです。
そうは言っても、ネットリアルタイム中継――
チャットが一番人気あるアプリで、売上高も
アイドル以上に稼いでいる人もいると言います。
今回の視察団で訪問する大連と瀋陽は
中国の中で「東北地方」に当たります。
かつて毛沢東時代は重工業の生産基地で
インフラも中国一整えられていた地域だったのですが、
構造転換が求められている今、不本意にも脱落し、
GDP伸び率は数期連続下位に数えられ、
22日現在出そろった31の省や自治区の
第3四半期GDP統計を「中国証券網」が纏めてみると、
マイナス2.2%という唯一のマイナス成長が
大連、瀋陽所在のここ遼寧省だったことが
明らかになっています。
ところが、会員数や人気ネットアイドルの
上位にランクインされたアイドルの数などで見ると、
東北三省は圧倒的に多いことが統計で分かっています。
産業が落ち込み、就職先も少なくなる中で、
「網紅」になって稼ぐ人が増えていることが
背景にあると考えられます。
チャットサービスを提供している会社に
2014年12月ナスダック上場の「陌陌」(「MOMO」)
という会社があります。
今月の初め、MOMOは
第3四半期の決算を発表しました。
売上高は昨年比約320%増の1億5700万米ドル、
純利益は約1180%増の4950万ドル増加したと言います。
今年の2月に7米ドル台まで落ちた株価は現在21ドル台。
有料サービスのユーザー(会員)数が
急増していることが原因のようです。
MOMOの有料チャットサービスについて
良し悪しという議論はありますが、
サービス業、とりわけネット関連企業の伸び代は
まだまだ大きいことに異論のないところです。
そう言った潜在的成長力のある会社を
今回の企業訪問で少しでも糸口を見つけたく
大連と瀋陽でネット関連の会社を
二日連続訪ねて参りました。
それにしてもマイナス7度の大連と
マイナス10度の瀋陽では、
久しぶりに貴重な体験をさせてもらいました。
大陸の寒さと島国の寒さとではまた違うものなのです。
<中国勉強会のお知らせ>
次回の中国勉強会は
年明け1月12日(木)東京銀座の天厨菜館で行います。
視察団の訪問企業や「深港通」の最新情報を
ご報告します。
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