薄桜鬼小説【斉藤】パート1 | べちー子’s駄文保管庫

べちー子’s駄文保管庫

駄文保管庫です。
メインはこちらです。

徒然なるままに
http://ameblo.jp/xxbetty2xx/

以前アップした薄桜鬼ゲームの斉藤ルートをそのまま文章に起こしました。
なので文章的におかしなとこもちらほら。
自分なりに直したつもりですが、大目にみてやってください。
これからゲームするつもりの方はゲーム終わってからのほうがよろしいかもしれませぬ。
盛大なネタバレですので。
それではどんぞ。

******************************


千鶴「どうしよう。間に合うかな…」


ハァハァと息を切らせながらつぶやいた。

今日は全体朝礼のある日。
うっかり目覚ましをかけ忘れた私は校門のしまるぎりぎりに校内に入った。


「雪村、時間ぎりぎりだ。学校にはもっと余裕をもって来ることを心がけろ」

物静かなたたずまい。
風紀委員と書かれた腕章を袖につけた斎藤一先輩が名簿を手にこちらを見据えていた。
斎藤先輩は剣道部副部長。

感情の起伏がない人で無口というか……寡黙な人だ。
私はちょっと苦手だ…。


千鶴「はい、すいません…」


斉藤「今日は朝礼の日だ。早く体育館へ行け」


軽く頭を下げて私はきびすを返した。
斎藤先輩を前にすると変に緊張してしまう。
やっぱり苦手だ。

体育館には既にほとんどの生徒が集まっていて、ざわついている。
私は自分のクラスの列がわからずうろうろとクラスメートを探していた。


「千鶴、こっちだ。早く並べ」


ふいに腕を引っ張られて列に並ばされた。
横を見ると原田先生が顔を覗き込むようにして笑っている。
お礼を言うと手で私の頭を軽くポンポンとたたいた。

原田左之助先生は私のクラスの担任。
なにかしでかしてはよく土方先生に注意されてる。
この間は「課外授業だ!」と言ってクラス全員で鬼ごっこやって怒られていた。


左之助「お前がぎりぎりなんて珍しいな。次はもっと早く来いよ」


そういって原田先生は壁際に並んだ先生達の列にまぎれてしまった。

チャイムが鳴り、ざわついていた生徒がしずまる中、朝礼が始まった。
簡単な情報伝達の後、南雲校長が壇上に上がる。


南雲校長「最近この学校の風紀が乱れています。実に嘆かわしいことです」


校長はため息をゆっくりと吐いて続けた。


南雲校長「今週末に花火大会がありますが、毎年少数のおろか者のせいで学校の品格に傷がつきます。よって、今年は花火大会に行くのを禁止します」


生徒達がどよめくと南雲校長は咳払いをひとつして静かにするように促す。


南雲校長「静粛に。破ったものは停学に処します。学生の本分は勉強。
くだらない娯楽にうつつを抜かす暇があるなら英単語のひとつでも覚えなさい。以上。解散」


ざわついたまま生徒達はそのまま教室へ移動を始めた。

教室でも花火大会の話題でもちきりだった。
クラスメートは「また禁止かよ」「楽しみにしてたのに酷い」と口々に文句を言っている。

南雲校長は今年就任してきた人だ。
先代の校長は厳しくもありやさしくもある人望の厚い人だったらしい。
南雲校長に代わってからはイベントは全て禁止。
校則も厳しいものに変えられた。


千鶴「楽しみにしてたのにな・・・」


ぽそりとつぶやくと、「ちーづる!」の声と同時に後ろから抱きしめられた。
同じクラスの千姫が大きな瞳を私の肩からのぞかせた。


千姫「花火大会、行くでしょ?」


千鶴「え?……でも朝礼で禁止って」


千姫
「守るわけないじゃない。しかも花火大会って何千人って人がくるのよ。
行ってもばれないわよ!ね、行くでしょ?」


千鶴(どうしよう…)


南雲校長の言葉と千姫の言葉が脳内をこだまして私は考え込んでしまった。