昴「瑞っ、伏せろ!」
声と同時に銃声が鳴り響く
瑞「昴さんっ!」
瑞の前にいた昴が崩れ落ちるように倒れる
昴の元に駆け寄ろうとした瑞は階段で足を踏み外し、そのまま意識を失ってしまった
「・・み・・・ず・・・瑞・・・」
瑞(誰かが私の名前を呼んでる・・・)
ゆっくりと開ける視界。6人の男性が心配そうに覗き込んでいる
昴「お前、人がせっかく助けたのに勝手にケガしてんじゃねーよ」
瑞(なんか知らない人に囲まれてる・・・あ、この人確かこの間総理に就任した平泉総理だ・・・でもなんでここに?)
昴「瑞。何、ぼーっとしてんだよ」
桂木「瑞さん、気分はどうですか?」
瑞(なんで私の名前知ってるのかな・・・。)
海司「おい、ほんとに大丈夫か?どこか痛むのか?」
瑞(あれ・・・この人どっかで見たことあるな・・・)
平泉「瑞、具合はどうなんだい?」
瑞「え、えっと・・・平泉総理大臣ですよね・・・。なんで私の事ご存知なんですか?」
そら「瑞ちゃん、何言ってるの?!」
瑞「すいません、私どういった関係でここにいるんでしょうか?」
瑞貴「瑞ちゃんもしかして記憶が・・・」
桂木「・・・海司、先生を呼んで来い」
海司「はい!」
~1時間後~
病室の前で待つ6人。
部屋から医者が出てくる。
昴「先生!瑞は?!」
医師「記憶喪失ですね。おそらく、総理が就任直後の頃から今までの記憶を失っているようです」
昴「ちょうど俺たちと会う前かよ・・・」
医師「彼女には総理の娘であることや記憶を失っている事など大まかな説明はしています、が、精神的にショックを与えるような言動は控えてください」
昴「瑞の記憶は戻るんですか?!」
医師「今の状況でははっきりと申し上げることはできません・・・申し訳ありませんが・・・」
昴「・・・っくそっ」
頭を抱えて座り込む昴、その様子を見ていた桂木は少し考えるようにして口を開く
桂木「海司、しばらくはお前が瑞さんの警護にあたれ、他のものは官邸に戻るように」
海司「えっ?!」
昴「!」
桂木「担当は昴だが、いまの瑞さんには精神的負担が大きい。海司は幼馴染だから瑞さんも知っている。与える負担は少ないだろう」
昴「ちょっと待ってください!納得できません」
桂木に詰め寄る
桂木「昴、瑞さんの事を思うなら・・・わきまえろ・・・」
昴「・・・・わかりました」
~翌日~
昴は瑞の病室の前に立っていた。ゆっくりと引き戸を開ける
昴「瑞、元気か?」
海司「あ、一柳さん。お疲れっす」
瑞はどこか不安気に笑顔を返す
瑞「昨日は、お世話になりました」
どこか他人行儀な言い回しに昴は少しムっとする。
昴「なんだよ、水臭い言い方すんなっつーの」
瑞「すみません、一柳さんとは昨日初めて会ったようなものなので・・・」
昴「・・・一柳さんか・・・」
ため息をつくようにポツリとつぶやいた