$堀端 勤の「書く事って何だ!」 respect for Tetsuya Chikushi憲法擁護運動の魁となった「九条の会」創設メンバーの井上ひさし氏がお亡くなりになりました。
昨今、ガンで亡くなる方が非常に多いのですが、井上氏も肺ガンで亡くなられたそうです。
井上氏といえば、若い頃愛読させて頂いた「吉里吉里人」などユーモアや皮肉に溢れた著作で有名でした。そして何より反戦平和活動の最前線に立ち「九条の会」を始め、様々な市民運動に参加されたことでも有名です。
折りしも昨年は、自民党一党支配が崩壊した年であります。井上氏は「ようやく日本にも良識ある政治行動が起きたか」と見届ける様に息を引き取られたのでしょうか。

【井上ひさし氏略歴】
昭和9年、山形県生まれ。上智大在学中から浅草のストリップ劇場「フランス座」文芸部に所属し、台本を書き始めた。39年からは、5年間続いた「ひょっこりひょうたん島」の台本を童話、放送作家の山元護久とともに執筆、一躍人気を集めた。

 44年、戯曲「日本人のへそ」を発表して演劇界デビュー。47年に「道元の冒険」で岸田戯曲賞を受賞して、劇作家としての地位を確立した。奇想と批判精神に満ちた喜劇や評伝劇などで劇場をわかせ、59年には自身の戯曲のみを上演する劇団「こまつ座」の旗揚げ公演を行った。

 小説家としても、47年に江戸戯作者群像を軽妙なタッチで描いた小説「手鎖心中」で直木賞を受賞。絶妙な言葉遊び、ユーモアたっぷりの作風で多くの読者に支持され、エッセーの名手としても知られた。自他ともに認める遅筆で、台本が間に合わず公演が延期となることなどから、「遅筆堂」と自称していた。

 一方、戦争責任問題を創作のテーマに掲げ、東京裁判や原爆を主題にした作品も数多く発表。平成15年から19年にかけて日本ペンクラブ会長を務め、16年には護憲を訴える「九条の会」を作家の大江健三郎さんらとともに設立した。

 戯曲「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」で紀伊國屋演劇賞と読売文学賞(戯曲部門)、「吉里吉里人」で日本SF大賞、読売文学賞(小説部門)。小説「腹鼓記」「不忠臣蔵」で吉川英治文学賞、「東京セブンローズ」で菊池寛賞など受賞多数。16年に文化功労者、21年に日本芸術院会員に選ばれた。
                  (以上4/11付け産経新聞WEB版より転載)

思えば、井上氏は「赤旗」等の左派系雑誌に辛口正論を載せておられた事を多数拝読させてもらっている。沖縄密約問題や普天間移設の議論が沸き立つ中、まだまだ「国民の良識」を代表した評論を期待していたが、大変残念である。

合掌