ご存じのとおり、「A Hard Day's Night」の途中にギターソロがあります。このソロについて、ジョージ・ハリスンは技術的に弾くことが難しかったので、レコーディング時にはテープスピードを半分に落として録音し、かつプロデューサーのジョージ・マーチンのピアノとユニゾンにしたことは有名な話です(元に戻すと音はオクターブ上がる)。
確かに完成版のソロ、正確に弾くのは結構難しくて、僕などは未だにきちんと弾けません。
この点、「アンソロジー」に残された、レコーディング過程の「A Hard Day's Night」(Take)1)では、完成版とは全く違うソロ(というかごまかし)になっています。
このため、ジョージは、ライブでこの曲を弾くのに苦労したと言われています。
ところが、残された正規の「ライブ」音源では、どれも「正確に」演奏されています。
「Live at the BBC」では、「ライブ」と言いながら明らかに録音されたテープとの「合奏」で特に当該ソロの箇所は明らかに正規版の音です(突然ピアノが聞こえる)。
ここまでは、ファンの間でもおそらく「通説」だと思いますが、僕は2016年にリリースされた「Live At The Hollywood Bowl」での「A Hard Day's Night」のソロもジョージではなく、発売に際して別の音を「被せた」ものだと思うのです。
1965年8月30日の音源だとされていますが、レコーディングであんな演奏しか出来なかったジョージがライブでこんなに正確に16分音符を弾けるはずがない。
しかも、この部分だけギターの音が突然クリアになりますし(最後のアルペジオの音と比較)、このソロの部分では、(ストロークだけを弾いているジョンではない)オクターブでギター2台分(あるいはこのライブ映像では弾いているはずのない12弦ギター)の音が聞こえます。
もちろん、テクニカルではないから優れたギタリストではない、などというつもりは毛頭ありません。ジョージのギターだからこそのビートルズだと思うし、「Something」などのソロはとても美しいと思います。
ただ、それにしても、まだまだライブを活発にしている時期、しかもシングルカットしてライブでは演奏しないわけにいかない曲で、弾きにくいソロにしなくてもいいのに、と余計なおせっかいをしてしまう僕でした。
ちなみにこの2016年に出たこの「Live At The Hollywood Bowl」、他にもいろいろあやしい演奏があって、僕は、発売に際して、かなりの音を「被せて」いると睨んでいます(リンゴのドラムスも時々クリアすぎる)。