宇宙兄弟が目指す宇宙
ワタクシは漫画が大好きです。
題材はフィクションでも良い。ファンタジーでもドキュメンタリーでも歴史モノでも、その題材を活かし作者の表現したいものが伝わる作品が特に良い。
何かしらの問題をストレートに発するだけでは伝わらない事を作者のセンスで暗に伝え、ストレートに伝えるより自身に刺さる。
それは上質なSF映画にも通じるものだと思います。
先日ブログで扱った「第9地区」もそんな作品でした。
映画「第9地区」はアパルトヘイトをまんまストレートに表現するのではなく、宇宙人を題材にした人種差別をテーマにしていました。
(映画タイトルは実際のアパルトヘイト時代の「第6地区」をモチーフにしており、ある意味ストレートですが・・・。
前置きが長くなりましたね。
そんなワタクシが集めている漫画の中で、一際お気に入り度が高い作品がコチラ「宇宙兄弟」。
宇宙飛行士を目指し奮闘する兄ムッタ(左)と兄より一足先に宇宙飛行士になってしまったヒビト(右)の複雑な兄弟愛を上手に描いています。
兄ムッタは「常に弟の前を進まねばならない」と考えていながらも、日常からして中々上手くいかない。
しかしそんな中、弟ヒビトは先に夢である宇宙飛行士になってしまう。
そこから始まる兄ムッタの淡い嫉妬心、でもやっぱり良く出来た弟を誇りに思う気持ち。
そんなディープな感情をストレートに描いてしまうと重くなりそうですが、ギャグを交えながらサラッと表現するあたりが小山先生のすごいところだと思います。
いわゆる最近流行の「いい話、泣ける話」的なストーリーもこのギャグのおかげでちっとも嫌味が無く、読者としても素直に感情移入が出来て同意できる作品となっています。
このバランス感覚が素晴らしい!!題材も個人的に燃える設定の「宇宙」ですしね。
一方、この作品の映画化が決定したそうですが、実はワタクシちょっと心配・・・・。
BECKやカイジ、ROOKIES、20世紀少年等、漫画作品が次々と映画化される中、とりあえず原作があるから適当な脚本に適当な演出。映画としてどうなの?的な仕上がりになっていることは否めません。
※良い映画もありましたけどね。劇場版「ボーイズオンザラン」は中々良かったなぁ。
そしてこの様なムック本が
今回は物語のヒロイン、せりかさんを前面に押し出しています。
食いしん坊ヒロインのせりかさんですが、原作では、やはりうまいバランス感覚で感動的なエピソードが語られますが、どうなりますやら。
映画化に向け盛り上がっている様ですが、お涙頂戴の単なる泣ける映画ってだけになっていないか心配だなぁ。
あのスケール感を出すならアニメでも良かったんじゃ?
というか、次々と人気漫画作品がドラマ、映画になりますが手っ取り早いからって実写化するのはどうなの!?的な感覚がどうしても拭えないワタクシでございます・・・。