(ネタバレあります)
ここ1、2年か2、3年、
低予算映画をよく観るようになって、
その映画が低予算か否かが、
なんとなく分かるようになってきた気がします。
当家がこの上なくお世話になっている午後ローさまでは、
低予算映画だけではなく、
古い名作なども放送されるので、
当家もちょっと気になった作品は録画して観ていたりします。
そうやって観る中で、
たとえば「ターミネーター」(第1作)、
あるいは「トレマーズ」(第1作)、
低予算でも名作映画は撮れる、
低予算ゆえの工夫によって名場面が誕生する、
そういったことを目の当たりにしてきました。
このたび放送されたのは、
スティーブン・スピルバーグ氏の監督デビュー作であるらしい、
「激突!」なる作品でした。
実はこの作品、
まだ私が子どものころ、
おそらく30年程度前に、
一度、TVで観たことがあります。
その時はとにかく怖くて仕方がなかった。
相手の顔が見えない、
相手の考えていることが分からない、
ということの恐怖を心に刻みつけられました。
この作品で表現されている「恐怖」は、
もちろん第一義的には、
巨大トレーラーに執拗に追いかけ回され、
轢き殺されそうになるという、
物理的なダメージを負うことに対する恐怖だと思うのですけど、
私はそれ以上に、
「分からない」ことの恐ろしさが大きいと思いました。
結局、最後まで、何も謎が明かされないまま、話は終わります。
相手の顔は一度も見えません。
何故そのトレーラーは執拗に主人公をねらうのか、
理由もはっきりとしないままです。
多分30年ほどの時を経て、
大人になった私は再びこの作品を観た訳ですが、
30年経っても、大人になっても、
怖さは変わりませんでした。
なお、夫の本作についての一番の感想は、
「トレーラーかっこいい!!!」でした。
しかし、大人になった私は本作を観てあることに気付きました。
この作品、ものっそい低予算!!!!!
ほぼ全編を通して登場する俳優は1人だけ、
あとはほんの短い場面だけ登場する人物が10人あまりでしょうか。
それも半分くらいはちょっと映る程度なので、
撮影スタッフが兼任していても不思議はないです。
基本的に、
何にもない荒野の1本道を、
1台の乗用車と1台のトレーラーが、
追いかけっこしているだけの映像。
下手したら今の日本円換算で、
1千万円かかってないかも知れないという気がします。
でも間違いなく傑作です。
名作です。
つくづく「映画は金じゃないなあ」という思いを強くした作品でした。