昔、お爺さんとお婆さんがおったげな。
ふたりで一生懸命畑を耕がやしょうたら、いのししが
出てきたげな。
いのししが鉄砲にうたれてのう
大怪我をしとったんじゃ。
「むげえこっちゃのう、いのししでも怪我あ
したときにゃいたけぇのう たすけてやろうやあ」
お爺さんとお婆さんは、
はたけをうつのをやめて、お婆さんが姉さんかぶりにしとった
手拭いをとって いのししの怪我をした足をくくってやったんじゃと。
そうしてしばらくそこへ寝させておいてやったら、
足をひきずりながら山へかえっていったんじゃ。
お爺さんとお婆さんはまたくわをもってよいしょ よいしょと
畑をうったんじゃ。
「もう日がくれたけえいのうや」
「帰るいうてもお爺さんこんなに残して帰ったんじゃいれんがのう」
「まあどうなろうに。今日はいのししの看病をしょうたけえ こがぁに
おそうなってしもうたんじゃがええことをしたんじゃ。
いのししが喜んで帰っていったけぇ」
そういうて、くわをかついで帰っていったんじゃげな。
あくる日、お爺さんとお婆さんが畑へ行ってみたら
結構に結構にうってあったんじゃと。
「どうしたんじゃろうかいのう、こりゃあ」
お昼になったのでお爺さんとお婆さんが弁当をたべよったら、
怪我をしたいのししが足をひきずりながらたいそうのいのししを
連れてきて 鼻の先で ポッポッポッポッ 畑をうって
みるまに次の畑も結構にしてくれたんじゃ。
みんなものう困ったときにゃあ
助けてあげりゃあまたええことがあるで。
みんなを大事にしょうで。