佐藤天彦叡王&勝利のセンダガヤマスト号 13 瀬川の右玉 不動の力 | 表参道芸術大学 

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アマチュア強豪時代の瀬川の将棋

アマチュアの将棋大会で私はずっと一日中

瀬川さんの将棋のみ観戦していた

その頃の瀬川さんは右玉だけである

瀬川さんは必ず桂馬右左2枚とも捌いて来る

地下鉄飛車で香車に紐(ヒモ)を付ける為にである

右玉で桂馬を捌くことは良いことだ

自然なことである

しかし 相手の駒台にも桂馬が載っかる

心配はないのか?

大丈夫だ 心配要らない

瀬川さんは桂馬を捌いた後

何事もなかったかのように

歩で傷にフタをするなど

一旦局面を収めてしまう

調子に乗って少しの有利を徐々に拡大して行こう

などとはやらない

自陣に隙が出来るからやらないのだ

それと 瀬川さんは銀を捌かない

これは「右玉名人」の最も重要な「技」なのだ

じっと動かないのである

不動の力とでも言うべきか

しかし そんな瀬川さんだが ただ単に

相手の出方を待ってるだけではない

機を見るや機敏に端に手をつける

桂馬が一段跳ねた瞬間 端は弱点となる

これが将棋の見えない法則だ

一般的にはこれは見過ごされている

桂馬の頭だけが傷と思われている

 

端に手をつけ成駒作りに成功した瀬川さん

一気に行くのかと思いきや

特に動いていくことはしない なぜ?

相手が自爆するからだ

瀬川さんはいつも戦わずして勝つのである

 

しかし もっと重要なのは桂馬ではなく

「銀」だ

右玉においては銀を捌くことは悪なのである

捌くととたんに空間が広がり隙が拡大する

右玉が美しく見えるのは駒の配置における

いくつもの制限の上に成り立っているからだ

僅か1箇所でもそれらの条件が崩れた場合

「針の穴から堤の崩れ」的状態になる