”Koji Fukurokoji Presents”-ノラ

ここは僕のお昼寝の場所なんだ。




特等席なんだ。




屋根もあるし、金網もあって安全なんだ。




一流ホテルなのさ。




この季節はやけに人間達が騒ぎ立っているね。




僕もね、堂々と花見はしたいんだよ。




君達、人間みたいにね。




でも、僕が行くと君達は追い払うだろう?




だから、宵の頃に屋台の片隅でそっとサクラを見ているんだよ。




たまに屋台の主人が食べ物もくれるんだ。




この季節がずっと続いたら、僕はメタボになっちゃうね。




たまに僕のようになりたい人間がいるようなことを聞くんだ。




僕は自由だと思っているんだろうね。




確かに自由さ。




友達も少なからずいる。




でもね、本当に僕のようになりたいのかい?




花見も堂々とできない。




食事も寝床も自分で探す。




頭を撫でてくれる主人もいない。




遠くまで旅にも行けない。




一番、厳しいのはね、腹の底から思いっきり笑えない事なんだ。




それが果たして人間の言う自由なのかい?




僕は僕の命を全うするだけだ。




あなたもあなたの命を全うするだけだ。




まぁ今夜はせっかくだ。




一緒に、夜桜見物しようじゃないか。



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