久々の実家に帰り着くと
「メロンは冷蔵庫よ。」
と、おかえりより先に母が言った。
あたしは
ただいまよりも、
ありがとうよりも先に
「わかっとるよ」
って言った。
冷蔵庫を開けたら
一玉を八等分に切られたうちの
一つ分が入っていて、
スーパーで買ってきたっぽいメロンが
必ず冷蔵庫にあるのが
実家に帰った時の醍醐味です。
小さい時から一人でお留守番をしなきゃいけないことが、
多分、小学校のクラスの中じゃ
1番多いと言われるくらい、
一人でお留守番をしていて、
そのたびに冷蔵庫に
母がメロンを入れていてくれました。
誕生日の時は、
絶対にメロンが乗ったフルーツケーキで、
回転寿司の店では
メロンが回ってる店は良い店
と、自分の中で決めている。
丸々した丸ごとのメロンは、
一年に一回だけ食べる機会がある。
パパの命日に
お線香をあげに来てくれる
おばさんが毎年メロンを持ってきてくれるのです。
今年もその時期が来ました!
夜になって、
玄関でピンポーンとベルが鳴り、
液晶画面でおばさんであることを確認して、
玄関を開けると、
片手にはメロンがありました。
丸々していて、
皮に網目がぐちゃぐちゃ~としていて、
これを待ってましたぁ!
と思いながら
あからさまにすると失礼だと思い、
おとなしくそれを頂き、
お母さんに、頂きましたと言って渡すと、
お母さんはおばさんにありがとうと言って、
一旦、仏壇に備えました。
目の前にメロンがあって、
それがすぐには食べられないことは
想定内。
そこまでは計算済みです。
そして、
そこまでがあたしにとって想定内なことも
きっと母にはわかっています。
母とおばさんがぺちゃくちゃ話してる間、
あたしはテレビを見たり
携帯をいじったり
時々話に加わったりしましたが、
ずっと、メロンが気になってました。
中身はオレンジのやつか緑のやつか。
どっちも好きだからどっちでもいいけど、
ほんとにあのメロンは今が食べ頃か。
ちゃんと熟されているやつか。
一年に一度の、
まんまるメロン。
いや、毎年仕事の都合で時期をずらして帰ってたから
何年かぶりの
まんまるメロン。
せっかくだから文句なしのメロンがいいでしょ。
まんまるメロンがもらえただけで
幸せなのに、
満足の行くメロンが食べたくて
あたしは贅沢に贅沢を重ねて
早く食べたいよ~
と言うと、
おばさんが
冷蔵庫に入れて冷やして、
明日食べなさい
と言って
帰って行きました。
あたしはその意見に賛成でした。
冷たくておいしいメロンのために
今日を我慢しよ。
そう思い、寝ることにしました。
明日は、
まんまるメロンを食べれる。
半分に切ったとき、
中身はオレンジのやつか
緑のやつか楽しみです。
切ったとき、
ジュワッ~と汁がこぼれて、
たねがギッシリ詰められていて、
贅沢に丸ごとかぶりつこうか、
お上品にスプーンで食べようか…
八等分に切って
ひとつずつ八回に分けて食べようか、
一回で全部食べてしまおうか。
いろいろ考えたけど、
明日の気分に任せることにした。
どちらにしろ、母はきっと
「一人で全部食べた!?」
と驚く結果になるに違いない。
あ~メロン様~
早く明日になってください。
と思いながら寝ました。
朝がやって来ました。
目覚めは、中の下。
だけど
メロン解禁の日なので頑張って起きます。
母は仕事に出ていていませんでした。
仏壇の前に座りご先祖様にチーン♪
として、
お供え物のメロンが無いことを確認しました。
お、冷蔵庫か!
冷えてるかな~
早く半分に切ってみよう。
まんまるメロンを半分に切るなんて、
いつぶりかしら。
汁がジュワッ~と…
想像するだけでヨダレが…
それにしてもおばさま、
神様に近い存在ですよ。
胸がワクワク。
足取り軽く。
今日は朝からいい気分。
いざ、冷蔵庫へ~!!!
冷蔵庫、オープーン~!!
ガーン( ̄^ ̄)
まんまるメロンが…
すでに半分に…泣。
汁がジュワ~ってできんやったぁ。涙。
ってか、残りの半分どこやねん。
母にわざわざ電話して、聞いてみると。
あたしが爆睡してる間に
親戚がきて、ちびっ子達が一緒に来たので、
お茶と一緒に出した。
とのこと。
ガキども、出てこい。
半分返せ、マジ返せ。
あたしのワクワク返せ。
あたしがどれほど
まんまるメロンを夢みて
待っていたことか。
半分を一人で食べ尽くしましたが、
本当は更に半分食べれたと考えると、
とても悲しいメロン記念日になりました。
期待すると、裏切られる。
そう実感した今日この頃。