先日、Twitterでとても奇妙な投稿を見つけたので、今日はその話を綴ろうと思う。


まずそのツイートを発見した経緯を説明する。

事の発端は、あるラッパーをTwitterで調べていたところから始まる。そのラッパーは、毎年年末に開催されているUMB(アルティメットエムシーバトル)という日本一のバトルMCを決める大会の、今年の茨城代表であるビッグサンフラワーというMCだ。一時期You TubeのUMB公式チャンネルのサムネイルになっていた写真のインパクトがあって気になっていたのと、茨城予選に出ていた他の出場者などが知りたかったため、Twitterの検索機能で「ビッグサンフラワー」と入力して調べていた。ちなみに、茨城予選は昨年、長野出身のMCニガリに代表を奪われており、今年は地元のMCが自分の街で代表を勝ち取れるかという復権をかけた年でもあったため、期待が高まっていた。調べてみるとMCニガリは2回戦でウイルス田中という地元のMCに負けており、そのニガリを倒したウイルス田中を制して、ビッグサンフラワーが優勝を飾っていた。

しかし、ビッグサンフラワーを調べていくと、彼も出身地が長野だったことが判明し、結果として茨城県は2年連続で長野から来ているMCに代表を勝ち取られてしまうという、茨城県のMCにとっては悔しい結果になっていた。彼が優勝した引用リツイートを見てみると、こんなコメントも。



ここでTwitterを閉じていれば、俺はビッグサンフラワーのことについて調べ終わり、当初の目的を果たして寝るはずだった。


しかし、そこで気になるツイートを見つけてしまったのだ。ただ、この投稿が本当に変だと感じるのは発見した時ではなく、調べていくうちに徐々に気づいていくことなのだが、とりあえず一度問題の投稿を見ていただきたい。
それがこちらである。


このツイートを初めに見たとき、単純に知らない単語の多さにオモシロを見出してしまった。分かる人には分かるものもあるのかもしれないが、俺に理解できなかった言葉がこの時点では4つ。

・ナモボーイ版
・「マ/ジ/ン/BUSTER」
・4面ボスのビッグサンフラワーmk-II
・大室櫻子

文面を見て推測すると、ビッグサンフラワーmk-IIという4面のボスが出てくる何かのゲーム(?)のサウンド(マ/ジ/ンBUSTER)を耳コピしてアレンジした。そしておそらくそのゲームもしくは音楽と関係のある大室櫻子という人物が誕生日で、このゲームは通常版とナモボーイ版、といったようなバージョンがあるのではないかと予測が立てられる。

謎を紐解いていくため、1つ1つ単語を調べてみることにした。
まずはマ/ジ/ンBUSTER(以下マジバス)について調べてみる。

やはり推察の通り、マジバスとは2015年リリースの曲のタイトルであった。そして、曲を歌うのは大室櫻子というキャラクター。声を担当するのは加藤英美里という声優だった。

次に、大室櫻子について調べてみる。
大室櫻子はアニメ化もされた漫画「ゆるゆり」の登場人物であり、七森中に通う1年生という設定のキャラクターであった。

ここまでは特に問題なく、先のツイートを紐解いていくことができた。

そして、次にGoogleでナモボーイと検索すると‥‥

検索条件と十分に一致する結果が見つかりません

と表示されてしまった。たった5文字のカタカナの組み合わせが、Googleで検索結果が出てこない。
一応検索した内容に近い検索結果が2件出てくるのだが、どちらもマジバスの耳コピアレンジをしている問題のツイートをリツイートしているTwitterアカウントを表示しているだけだった。
Googleで調べても出てこないとなると、Twitter等で一部の人間のみが使っている略語や造語の可能性が高い。そう考えた俺は、Twitterに戻ってナモボーイと検索した。ナモボーイ。文字を打ちながら不思議な気持ちになった。ただの5文字の単調な文字列のはずなのに、ここで出会わなければ一生使うことのない言葉だという確信があった。
ナモボーイと調べると、


マジバスと同じアカウントが投稿している別のゲーム(?)の曲と、



任天堂が販売するゲーム、スプラトゥーン界隈と思われる人たちのツイートが見つかった。スプラトゥーンに関してはプレイヤーが操作する男のキャラクターのことを「ボーイ」と呼ぶらしく、なんらかの略語か何かでナモボーイと発言しているユーザーがちらほら見られた。しかし、俺が探しているのはマジンバスターがプレイできる「ナモボーイ版」というものの存在であり、これをスプラトゥーンのキャラクターとして文章を読むと意味が通じなくなってしまうため、全くの別物、ナモボーイ違いとして捉えるのが自然だった。

さらにツイートを探していると



例のナモボーイ発言ユーザーと、別のアカウントがナモボーイについて話しているツイートが見つかった

しかしこの2人以外にこのナモボーイの話をしているユーザーを見つけることはできず、確認できる限りではスプラトゥーン関連以外でナモボーイという言葉を使っているのはこの2人のみだった。2人だけが知っている言葉というのは、実は1人だけ知っている言葉よりも恐ろしい。1人で頭の中で造語を作り出し、それを勝手に発言するのはそう難しいことではない。しかし、他者と会話が成立しているということは、その言葉が少なくともその2人の中では実際に存在している、という事実を裏付けることになるのだ。これはすごいことだ。たとえば有名な都市伝説で、深夜にドラえもんの奇妙な回を見たという人が複数いるが、実際にはそんな回は放送された記録はない、という都市伝説がある。今回のケースはそれに似ていると思う。誰か一人が「深夜にテレビつけたらさ、何も喋らないドラえもんがやってて」などと喚いたところで、頭のおかしい戯言として一蹴されるだろう。しかし同じ放送を見たという人間が2人、3人と複数いればその戯言にも説得力が伴ってくる。
Googleでも検索結果が出なかった、ツイッターでも2人しか話題にしていなかった、しかし逆に言えば2人は話題にしているという奇妙さが、この言葉には乗っかっていた。
さらには、ナモボーイアドバンスという新しいワードも登場し、謎はより深まった。また、「ナモボーイアドバンスのリメイク版のほうが入手は楽」という言葉からも、ナモボーイやナモボーイアドバンスといった存在が彼らのオリジナルではなく、販売もしくは取引によって入手できる、実体があるものだというニュアンスもうかがえる。

ナモボーイに関しては情報が少なすぎるため、一旦調べるのを中断して最後のキラーフレーズ、ビッグサンフラワーMK-IIを調べることに。
しかしこちらもナモボーイ同様、ネットで探してみた限りでは情報が見つからなかった。MK-IIとのことだったので念の為MK-Iや濁点を抜いたビックサンフラワー、マークツーをカタカナにしてみたりなど色々試したが結果は変わらなかった。そもそも、マ/ジ/ンBUSTERがゆるゆりのゲームに使われた曲で、そのゲームに登場するのがビッグサンフラワーMK-IIとするならば、ゆるゆりのゲームが少なくとも4面まである大作で、かつ各ステージにボスがいるようなストーリー進行のゲームであるということになる。
しかし家庭用ゲーム機などを使ったソフトは発売されておらず、ゆるゆりとコラボしている携帯ゲームアプリやキャラクターの声が聞けるアプリ、目覚まし時計のアプリなどが見つかったが、そのどれもが4面のボスを必要とするような路線のアプリではなかった。

ビッグサンフラワーMK-IIとは何なのか。
そして、ナモボーイとは何なのか。
ナモボーイを知る2人は、ネットのどこにも情報がないこれらの単語をどこで知ったのか。
ゆるゆり及びマ/ジ/ン/BUSTERとの関係は何なのか。

これらの答えを探すため、マ/ジ/ン/BUSTER!の耳コピをしていたユーザーのTwitterのプロフィール欄にあったInstagramのアカウントのリンクを開いてみることにした。


すると、#ゆるゆり活動日記というハッシュタグとともに、ゆるゆりに関する投稿がたくさん出てきた。
やはりこのユーザーがかなりのゆるゆりファンであることに、疑いの余地は無いだろう。

しかしここでも、ビッグサンフラワーMK-IIとナモボーイの情報を掴むことはできなかった。

諦めて画面を閉じようとした時、このインスタの概要欄に、もう1つのインスタのサブ垢のIDを発見した。

一応そちらも開いてみることに。



先程の投稿とは雰囲気がガラッと変わり、ノスタルジックな、どこか哀愁の漂う写真が並ぶ。
1つ1つ写真を見ていくと、ある投稿を発見した。





ゲームボーイに、大室櫻子をはじめとするキャラクターたちがぶっ刺さっている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

意味不明。

だが、ここで1つ、調べた内容を思い出したことがある。確か、ゆるゆりの作者は「なもり」というペンネームを使用している。

ゲームボーイに、なもりのキャラクターが刺さっている・・・
なもりのキャラクターが刺さったゲームボーイ・・・
なもりのゲームボーイ・・・・

まさか!!!!!!

なもりのゲームボーイ
=ナモボーイ!?!?!??!?

ナモボーイというかゲームボーイなのだが、実際に写真を見るとこれがナモボーイな気がしてくる。
というか、ナモボーイなんて言葉は知らないのでこれがナモボーイだということにするしかない。

しかし、これがナモボーイだったとしても解決してない問題が山積みだ。ゲームボーイにキャラクターのシールやスタンドグラスを刺したところでそのソフトの内容が変わるわけではないし、マ/ジ/ンBUSTERのリリースは2015年なので、その年にナモボーイ(ゲームボーイ)は現役を引退している。わざわざ古いゲーム機に合わせてソフトを作ることも考えにくい。ナモボーイ版のマジンバスターとは何なのだろうか。


やはりこのツイートは奇妙だ。何かを調べて、理解しようと一つずつ考えていくと、どこかで辻褄が合わなくなっていく。
ビッグサンフラワーMK-IIに関しては依然謎に包まれたままだし、ナモボーイも意味の分からないものだった。そんな意味のわからないナモボーイの会話を、当たり前のように話す2人も存在している。
だがこれ以上調べることもできず、謎は謎として残った。
もしナモボーイやビッグサンフラワーMK-IIについて何か知っている方や、このブログを読んで正体が分かった方がいればご連絡ください。お待ちしております。