「えっ!?何これ!!」

『融合が不完全なんだ。パワーや防御を優先した結果、見た目までエネルギーが回せなかった。格好は君もきになるところだろうが、その分ポテンシャルは十分なはずだ!』

「そんなこと言っても戦えないよ!!喧嘩だってしたことないのに!それに…私高所恐怖症なのっ!!」

『君もか!!体自体が大きくなってるんだ!高くない!落ちることもないから顔を上げろ!敵から目を離すな!!』

エックスの声にハッとなり、前を向くと視界を覆うように炎が見えた。

瞬間、どうにかガードに回した両腕に着弾する。

「あっつ!!…くない!?」

『防御は大丈夫だと言ったろう!さあ、反撃開始だ!!』

「『イーーーッサーーーァ!!」』

声を合わせファイティングポーズをとる。それと同時に何かのスイッチが入ったような気がした。


敵を見据え走り出す。間合いを詰め、攻撃を当てるためだ。牽制で撃ち出される火炎を今度は撃ち払いながら、次のモーションに攻撃を加える。

『有効打とは言い切れないが、攻撃力もまあまあ出てるな!このまま街に出られる前に仕留めるぞ!!』

「仕留める!?どうやって!?」

『説明が必要か?』

まるでわかっているだろうと言わんばかりのエックス。不満を顔に出す前に、脳裏に稲妻が走るようにモーションが流れてくる。

「いや、出来る!気がする…」

テレスドンの頭を踏みつけるように蹴りを入れ、その反動で距離を取る。

痛みに怯んでる隙に、少し離れたところに着地。右の拳を天に突き上げ、集めたエネルギーに回転の力を加える。青白い光は両腕に集約する。

「『はーーーーっ!ザナディウム光線!!」』

胸前で腕をクロスさせる。X字の光線が勢いよく放たれ、避けきれないテレスドンに命中する。

眩い閃光を放ち、爆散したかと思うと一箇所に集約していく。

『よし!万が一があるとまずい。テレスドンのSDを回収しにいくぞ!!』

「え!?ああ、うん!!わかった!」


変身解除すると、変身した直前の場所に自転車ごと戻されていた。

『学校の校庭あたりだな!他人に拾われないように急げ!!』

「ちょ!登り坂なのに…変身解除を学校にしといてよ!!」

『今度からな、気をつけるよ。ほらそれより、頑張れ!!もう少しだ!!』

心なしの応援の中、戦闘よりキツい登り坂をやっとの思いで駆け上がる。


ようやくたどり着くと、門の前で一人の見知らぬ少女がこちらを待っていたかのように立っていた。

「やぁ、そんなに急いでどうしたんだい?あ、もしかしてこれの持ち主かい」

そういう手元には、先ほどのテレスドンのSDが握られていた。

「それは!!えっーと…ああ、友人に頼まれて、さ」

『知り合いじゃないのか?』

(いや、見たこのない子…だけど、身バレは良くなさそう、だよね?)

『ああ、味方かわからない以上、素性を知られるのは得策ではない。慎重に行くんだ』

『そう構えないでくれ。大丈夫、我々は君と"同じ"だ。レイス、ちゃんとして』

「ごめんごめん。君がどんな人か見て見たくってね。未知のウルトラ戦士さん」

レイスと呼ばれた少女は月明かりに照らされ、幻想的な雰囲気を醸し出していた。