恋鳥 -8ページ目

恋鳥

バキュン

自転車で10分程度の距離なのに、なんだか我が家に入り浸る半居候がいる。
驚くほどに会話が成立しない。

相手の語彙力がレベル3。

「なんなん?」とか言う。
「え、なんなんって、逆になんなん?」と聞き返すと「逆にてなんなん?」と返ってくる。

なるほど判らん。

私は関西に住んだ事がないから「そんなん冗談やん」が判らん。

相手が真顔で「あんな、あんな、今日うち痩せた気がする」とか言う。
見た目的になにか変化があったわけではない。
だから「え?」と聞き返すと「痩せたやろ?」と言われる。

「いやいやいやいや、痩せてないし。ミリも変わってないし、つかその自信はどこから来た?」
「嘘やん!ほんま、痩せたって!今日うちめっちゃ仕事したし」
「……めっちゃって……まあ、普通だよね」
「ほんま、めっちゃって疲れてん! 暑いし! ほんま、絶対痩せた!」

暑いのは……まあ、みんな暑いと思う。
仕事は……社畜というレベルで仕事をしているわけでもなく、夕方には家に戻ってくるお仕事。
神経は多少使うかも知れないけど、肉体労働というわけでもない。
で、真顔。マジトーン。

困惑してると、数日後くらいに「冗談やん」と言われる。
マジかーーー。

冗談ってなんだろう。
判らぬ。

本日「健康診断結果貰ってきたけどわからん! 読んで!」と言われて、別に私も詳しいわけじゃないけど見てやった。

「貧血でな、立ちくらみすんねん! で、この特記事項なしってらなに? うちが自覚してないってらこと?」
「貧血? 数値的には至って問題なし、Aって書いてあるし……特記事項なしってのは、特に記すような事はないってこと」
「え、うち……ほら、身体弱いやん?」
「……ほう?」
「見て!目の下!ここ白いやん?」
「……いや?」
「いや!白いやん?朝とか真っ白なん」
「……でも別に異常はないよ、肝臓も至って健康」
「え、嘘! もう身体怠いし、頭痛なるし」
「……取り敢えず、ここ読める?」
「小さい字で書かれても、うちようわからんし、なんなん?なんて書いてあるん?」
「……端的にいうと食生活見直せデブ」
「えっ」
「脂質と体重が数値外、脂質B、BMIがC……コントロールしろってよ」
「どこどこ? 嘘、どこ?」
指差して一つずつ読ませたら「ほんまやん」とゲラゲラ笑いだす居候。

自称アレルギー体質で、敏感肌で、虚弱で、貧血な彼女の健康状態にはなんの問題もない。
驚くほどに。

「なんでなん?」
「思い込みだろ?」
「そやねん、うちアレルギー、めっちゃ重度やと思って検査したやん? 数値、4やってん……先生が『僕もアレルギーは酷くてね、6なんだけどね』とか言うてん。めっちゃマウント取ってくんの、なんなん」
「だから……思い込み」
「嘘やん、怖い」
「私はお前が怖い」
「うちもー!」

本当に会話が……成立しない……のだ。

本人、ゲラゲラ笑ってるけどね。
身体も心も鋼タイプだよ、お前は( *'罒'* )