レンドフルール〜感想〜

レンドフルールは、オトメイトにより2015年に発売されたちょっと古い作品なんだけど、イラストがとても綺麗で攻略対象もイケメンばかりなので、気になって購入しました。私がプレイしていたのはVITA版だったが、スイッチ版もあります。

 

あらすじ

舞台はパルテダームという、女神ミレーナが作り上げた天上に存在する不可侵な聖域。「グラース」という力が全ての生命のエネルギーで、パルテダームの中心に位置する「生命の樹」に宿っている。地上に存在する世界ソルヴィエルは、グラースの枯渇により、大陸全土が衰退し、滅びへと向かいつつある。

 

かつて、女神は4人の騎士とともにグラースをソルヴィエルに与えて復興させた。その後眠りにつき、その依代であるレーヌと地上から選ばれた4人の騎士は女神の意志を受け継ぎ、世界の発展を遂げていく。しかし、ある時レーヌの座が空座となり、グラースの供給が停滞し、世界は再び衰退していく。

 

ようやく新たなレーヌであるヴィオレットが誕生し、彼女の騎士となる4人の騎士たちは選出される。レーヌ不在のせいか騎士たちの心が彼女との絆を拒絶する。でも、グラース供給を再開させるためにヴィオレットは彼らの信頼と忠誠を得るために動き出す。

ストーリー感想:★★★★☆

結構鬱っぽい話だと聞いていたけど、まさにその通り。全員が幸せになるというパーフェクトエンドのような結末はなくて、どのエンドでもなんらかのことを妥協せざるを得ない感じでした。でも、ストーリー自体が凝っていて割と深いので、結構楽しむことができました。

 

欠点と言えば、用語が多くてフランス語の言葉もあっちこっちに登場するので、どういう意味なのか調べていかないと分かりにくかったです。タイトル自体「レンドフレール」は元々フランス語で、アルファベットで書くならReine Des Fleursになります。花の女王という意味なんだけど、他に似たような言葉も多々あります。例えば、Ravir(ラヴィール、意味は喜び)、La Combat(戦闘)とか Victoire(勝利)など。音楽のタイトルにもフランス語があります。

 

「花人」「グラース」「蝶」「種人」「花紋」など他に用語が結構あります。そして、わざとらしく難しい言葉や漢字が使われているんで読むのがくどいなと何度も思っていたんです。

 

ボリュームに関しては中々多いです。トロコンするまで役45時間かかったんで大抵のストーリー重視の乙女ゲームと同じかな。エンドが多いので回収するのに時間がかかちゃったけど、愛情と忠誠エンドだけを見るなら30時間以内にクリアできると思います。

 

格キャラには愛情と忠誠エンド、そして大量なバッドエンドが用意されています。

 

 

キャラクター:★★★★★

公式なおすすめ攻略順は特にないらしいが、ユベールだけは全員をクリアしてから解放されます。他のルートのネタバレはないので、好きな順でやってもいいと思います。私は相変わらず好きそうな順で攻略しました。

 

攻略とプレイ前の好きな順:ギスランレオンルイオルフェユベール

プレイ後の好きな順:ギスラン>>>>ルイレオンオルフェユベール

 

 

ヴィオレット

パルテダームに住まう、本作の主人公で女神ミレーヌの依代。可憐な振る舞えで話し方もとても上品で丁寧。性格は落ち着いているが、箱入り娘のように育てられたので、りんごを齧って食べるのを知らないぐらい世間に疎いお嬢様。お世話をしてくれる瑠璃と茜という双子蝶がいて、ヴィオレットには過保護で騎士たちに対して敵対心を見せる。

 

ヴィオレットは多くのプレイヤーに結構好かれているようだけど、個人的に好きでも嫌いでもない微妙な主人公だったと思います。物事をはっきり言う強い子で自分の好みのはずだが。。。ユベール√の彼女にどうしてもイライラしたことが多かったです。ヴィオレットは彼に依存しているようにしか見えなかったし、他の√に比べて気弱くて受け身っぽくなったような気がします。でも、騎士たちの√では好ましい主人公だったので、客観的に言えば悪くない主人公でした。

 

 

レオン(興津和幸)

北の騎士、出身はピヴォワンヌ。元々貴族の出なんだけど、堅苦しいいのが苦手ということで話し方や振る舞いは全体的に反発的というか不良っぽい(本当にそうではない)。ヴィオレットの写真を見た途端、彼女に惚れてしまったという理由で騎士になろうと決めたらしい。そこで、騎士として選ばれなかったので強引にその役割を既に選出された騎士から奪ったという。性格は気楽でノリがいいが、考えずに行動に移ってしまう傾向もあるので、蝶である揚羽によく叩かれたり叱られたりする。

 

外見がめっちゃイケメンなので最初に見た時に一押しになりそうだなと思っていたけど、性格的には好みではなかったんです。初対面に主人公に飛びついて抱きしめるぐらい最初から好感度がマックスって感じで、流石に引いちゃいました。でも、全員の中に一番純粋で優しくて何があっても裏切ったり嘘ついたりしないタイプなので、嫌いにはなれない。そういう馬鹿正直なところがとても気に入っていました。そして、とんでもない発言や行動もめっちゃ面白くて本作のムードメーカー的な存在なんじゃないかな。

 

 

 

ギスラン(近藤隆)

東の騎士、出身はクリザンテームで本作のツンデレ。軍人として数々の武勲を挙げ、「クリザンテームの怒れる刃」という異名を持つ。誰に対して厳しく、女性と子供は守られるべき存在だという古い考え方を持っている。女性に慣れていないせいか扱いに困る。クリザンテームは4つの国の中に一番衰退し武人という役割が重要で、上に立つ人は男性だけの社会。最初はヴィオレットに対しては辛辣な態度を取るけれど、認めた主に対しては忠実を誓う。

 

ギズランのためだけに本作をプレイすべきだと思うぐらいギスランがめっちゃ大好きでした!最初の態度はあまりにも冷たくて女性に対する考え方にも「え」と最初に思っていたけど、ツンデレ顔を見たら惚れない人はいないだろう。徐々に惹かれ合う展開がすごく良くて、忠誠を誓ってからのギスランが意外と紳士的で素敵だなと思いました。「やかましい!」と叫ぶ彼も面白かったです。狂気に染まりグラースを集めるために街の花人を殺し回ったりするバッドエンドが怖かったけど、どのエンドでも全員の中に一番悲劇的な結末だったんじゃないかな。

 

 

 

ルイ(浪川 大輔)

南の騎士、出身はカンパニュール。本作の金髪王子様のキャラで名前も昔のフランス王国と同じ。カンパニュールの王子なんだけど、愛人の子なので自由気のままで生きてきた。建前と本音が激しくて腹黒さんで、騎士としての役割に対しては倦怠感を感じている。

外見が奇麗でとても上品なんだけど、ルイ以上に腹黒なキャラは存在しないでしょう。振る舞いや話し方がとても優雅でお金の匂いが滲み出ています。素直なレオンと軍人のギスランとあまりにも違いすぎるので、掛け合いや衝突がめっちゃ面白かったです。巧みな言葉でやすやすと信頼させられる話術を持ち、本音が分かりづらい。愛情エンドはなんか曖昧な友達以上恋人未満の関係で終わってしまってちょっと残念だなと思っていました。でも、ストーリー的にはルイ√が結構面白くて糖度も全員の中に一番高かったので、思っていたより楽しかったです。

 

 

 

オリフェ(KENN)

西の騎士、出身はウィエ。全員の中に一番若くて背も低い本作のショタ系。吟遊詩人として旅をし、竪琴を嗜んでいる。明るくて気さくで友達になりやすそう。でも、騎士という役割に対しては不満を持っているらしく、蝶である浅葱が常に心配している様子。

 

こういう年下の童顔・ショタ系が一番苦手なタイプということで、先に回しました。ピオフィオーレの晩鐘のオルロックとちょっと似ている雰囲気だなと思っていたけど、オルフェは他の騎士たちより普通の男性に近い感じで恋人より友達という印象でした。見た目は私にとってちょっと子供っぽいけど、性格が結構好きでした。年のせいか糖度が一番低くて刺激的な要素も欠けていたので、√としてはどっちかというとつまらなかったです。でも、純粋でかわいい恋愛が好きな方は楽しめると思います。

 

 

 

ユベール(杉田智和)

パルテダームの宰相でヴィオレットを育った保護者兼教育係。ヴィオレットを赤ん坊から育った親か兄のような存在で、彼女に対してときに甘くときに厳しい。女神ミレーナに忠実で彼女の復活のためにヴィオレットを利用しようとするぐらい知略に長けている。気持ち悪い工芸品や陶器を集めるのが趣味。

 

ユーベルはプレイ前もプレイ後も一番苦手なキャラで全く好きになれなかった一人です。あまりにも執念深くて女神ミレーヌへの執拗が異常に強かったので、どう見ても隠れ悪役って感じでした。バッドエンドでは殺されるシーンがあるし、愛情エンドでもヴィオレットがただ洗脳されたようにユーベルを追いかけたりするんで、まるで歪んでいる恋にしか見えなかったんです。もう一つのエンドではヴィオレットがユベールを赤ちゃん状態に戻し、母のように彼を大人まで育ってやがて恋人同士になる結末だったんだけど、これもまた歪んでいるというかちょっと変だなと思いました。

 

システム:★★

本作は普通の乙女ゲームと違って、選択肢を選んで進む代わりに「ラヴィール」というシステムが採用されています。ラヴィールという言葉はフランス語で、意味は「喜び」。ラヴィールは対話バトルのようなミニゲームで勝利するとポイントを取得したり、選択肢や結果によってエンドも変わったりします。

 

まずは情報収集パートで他のキャラを選んで話を聞きます。攻略を見れば誰に聞けばいいかは分かるけど、自力でやりたい場合は、ショップでポイントを消費して金平糖を買って双子あげるのをおすすめします。そうすれば、ヒントを教えてくれるんです。その後ラヴィールが始まり、時間内に選択肢を選んだりコマンド入力したりすることで相手のHPのようなゲージを減らしていく感じ。そこで、ご褒美のイベントやスチルを見られるほか、愛情度か忠誠度というというパラメータも上昇されます。

 

 

50個以上のエンドがあって分岐点がどこにあるのか分からん状態なので、自力でやろうとすると苦労するでしょう。「ラヴィール」では一つの選択肢だけでエンドが変わったり話が分岐したりするし、攻略を見るのを強くおすすめというか絶対見た方がいいと思います。

 

気になったのはショップはタイトル画面に戻らないと開かないので、いちいち戻るのが面倒でした。それに、何かを購入するとシステムセーブが自動的に行われるので、セーブリロードでやり直しが効かないし、どんなものなのか事前に確認もできません。すべてのラヴィールを勝利すればポイントが余るほど溜まってしまうので別に気にする必要はないけど、システム的には不便でした。

 

攻略とトロフィーの注意点

エンドはめっちゃくちゃ多くて回収するのが非常に面倒くさい。攻略を見ないでやろうとするとかなり苦労するというか無理ぐらいわかりづらい。私は二つの攻略サイトを使って攻略していたのに、スチルコンプができなくてもう一つの攻略サイトを使うハメになったぐらいややこしい。人気なchoroとsyumi-roomなどだけだとスチルコンプができないので、100%にしたい方は以下のサイトをおすすめします。

 

一人だけに10エンドとかあるんでトロコンしたい方には辛抱が必須。それに、大半のバッドエンドはなんの意味もない無駄なエンドばかりだったので、トロコン・CGコンプリートを気にしないなら別に回収しなくてもいいと思います。

 

グラフィック:★★★★★

絵師は薄葉カゲローさんなんだけど、今までプレイしてきた乙女ゲームの中にトップレベルのイラストだと思っています。すごく細く描かれており、キャラデザインも本当に美麗。それに、スチルの数も多くて欲しいところにちゃんとあって大満足でした!

 

音楽:★★★

普通に良かったとは思うけど、ピオフィオーレやアムネシアのように頭に残ってOSTを買いたいぐらいすごいとは言えないかな。

 

糖度:★

ストーリー重視の作品で鬱展開ばかりのせいか糖度がめっちゃ低いです。キスや抱擁ぐらいはあるけど色肌やベッドシーンなどの熱い描写は一才ないので、普通のノベルゲームとあまり変わらない印象でした。CERO Cに関しては、それはおそらく殺しや流血の描写があるからであって糖度を示している訳ではありません。

 

総評:★★★

面白いところは確かに多いけど、システムと攻略の面では劣っていると思いました。攻略キャラが全員個性的で魅力さがあって、凝っているストーリーと美しいイラストが大好きでした。でも、「ラヴィール」のミニゲーム、攻略の難易度やバッドエンドの多さで心が何度も折れるところだったので3星にしました。トロコンしたい方や完全に自力で攻略したい方にとっては本当に面倒で辛抱が必須な作品だけど、ダークな雰囲気や鬱展開が好きな方にはとても向いていると思います。

 

良かったところ

  • 美麗なグラフック
  • イケメンだらけ
  • ギスランの存在
  • ストーリーが深くて凝っている
  • ボリュームが豊富
  • スチルが多くてどれも美しい
  • ショートストーリーが面白い

 

気になったところ

  • 攻略が非常にややこしくて自力コンプは無理レベル
  • エンドはとても多くて回収するのが面倒
  • 難しい言葉や漢字が多くて読むのがくどい
  • ラヴィールには合う人と合わない人がいる
  • 無数のバッドエンド
  • 全員が幸せになる結末はない
  • 糖度が低い

 

おすすめできる方

  • 悲劇や鬱展開が好き
  • ボリュームの多い作品が好き
  • 自己投影しない
  • ゲーム要素が欲しい
  • バッドエンドが好き
  • 長い文章を読むのが好き
  • 糖度の低い作品が好き

 

おすすめできない方

  • 自力で攻略したい
  • 自己投影したい
  • 幸せな話や明るい雰囲気が好き
  • バッドエンドが苦手
  • 長い文章が苦手
  • 糖度が欲しい